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対談(2)国により異なる自然放射線量

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 田中 福島以外の地域で、栃木県内でもホットスポットと言われるような地域があります。那須とか日光は、周りの地域よりもちょっと放射線量が高いということですが、そういう地域はどのぐらい問題があるのでしょうか。

 米原 栃木県の場合は那須塩原から日光にかけて、森林のあるところの汚染が、少し高くなっているということです。ただ、線量はそれほど高いことはなく、心配するようなレベルの線量ではないと考えられます。

 田中 那須とか日光の観光客が減ってしまって、そのかわり海外旅行に行こうという人がいるんですけれども、飛行機に乗ると宇宙から放射線が降ってくるわけですね。那須とか日光に旅行に行くのと、海外旅行するのとでは、どちらが放射線のリスクが高いのでしょうか。

 鈴木 国による放射線量の違いや、航空機に乗るときに浴びる宇宙からの放射線を考えると、海外に行くほうが被曝が少ないとは言えません。栃木県大田原市にある私が勤務する大学の線量は年間1ミリ・シーベルト台ですが、自然環境中のラドンガスが強い米国ではラドンだけで2ミリ・シーベルト、北欧では3ミリ・シーベルト以上もあります。

 学生の親御さんに説明するとき、アメリカに留学させたと思ってください、アメリカの留学より、大田原のうちの大学で勉強していたほうが被曝線量は低いですよ、という説明をしているんです。

 今、問題にしている1・何ミリ・シーベルト、2ミリ・シーベルト弱というような値は、実は国によって異なる自然放射線量の差に含まれてしまいます。そういうレベルだということを、ぜひ皆さん理解して、安心して那須に住んでもらって、安心して観光に来てもらいたいと思います。

 田中 アメリカに海外旅行に行くんだったら、那須や日光にぜひ旅行してくださいと、こういうことですね。

 それから、先ほどのお話の中でも「リスク」という言葉か何度が出てきました。リスクというのは、将来、何かが起きる危険性という意味だと思いますけれども、100ミリ・シーベルト以下だったら問題ないという方もいれば、20ミリ・シーベルト以下だという人もいれば、1ミリ・シーベルト以下にすべきだという意見、いろいろな考え方があります。我々、人によって言うことが違うので混乱してしまうんですけれども、どのように考えたらいいのか、ちょっと整理していただきたいんですけれども、鈴木さん、いかがでしょうか。

 鈴木 どのくらいが受容可能なレベルなのか、国民全体で議論した方がいいでしょう。国は1~20ミリ・シーベルトの間で低い被曝線量を目指しており、それは妥当な考え方です。20ミリ・シーベルトの被曝なら、子どもががんで死亡する危険性は0.4%程度増えます。今年20ミリ・シーベルト以下に抑えれば、来年は除染が進んでリスクは低下する。そういうプロセスを考え、受容可能なレベルを判断していくべきです。

 田中 例えば交通事故で死亡する確率などと比べると、被曝のリスクは。

 鈴木 仮に、人口1億人のうち毎年5000人が交通事故で亡くなる状況が70年間続くすると、人が生涯に交通事故で亡くなるリスクは0.35%。一方、年間5ミリ・シーベルト被曝すると、10歳の子供が一生の間にがんで死亡するリスクは0.1%上がります。あくまで単純計算ですが、交通事故死のリスクの方が高いといえます。(続く)

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