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ドクター柴原の漢方塾

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「のどがイガイガする」という症状を改善するには・・・

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 人が「咽喉(のど)」と表現する部分には、咽頭(いんとう)や扁桃腺、リンパ節、気管、食道、甲状腺など様々な臓器や器官があります。咽喉に感じる症状は、これら臓器や器官の異常で生じることが多く、咽頭炎や扁桃腺炎の際には「咽喉の痛み」、気管支炎では「痰(たん)のからみ」、逆流性食道炎では「咽喉の焼ける感じ」、食道疾患では「食事摂取時の違和感」、甲状腺が腫大している際には「咽喉の腫れや圧迫感」といった症状が自覚されます。

 一方、咽喉の症状を自覚するにもかかわらず、病的な状態が認められない方も多くおられます。このような症状は、古くはヒステリー球や咽喉頭神経症と呼ばれたもので、近年では咽喉頭異常感症と診断されます。「咽喉がつまる」はその代表的な症状ですが、「咽喉に何か引っかかっている」や「咽喉が圧迫される」「咽喉が狭くなってのみ込めない」「咽喉がイガイガする」「何となく咽喉の感じが、いつもとは違う」といった表現で訴えられる方もおられます。

 この「咽喉がつまる」は、漢方医学では明らかに病的な状態にあることを示す症状と考えます。気血水の「気」の流れが悪くなって停滞してしまった状態を気鬱(きうつ)と呼び、「咽喉がつまる」はその代表的な症状です。「咽喉がつまる」との症状は、2000年ほど前に、既に中国で書かれたとされる『傷寒雑病論(金匱<きんき>要略)』に記されています。その婦人雑病篇には、「婦人、咽中炙臠(しゃれん)あるが如きは、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)之を主(つかさど)る女性で、咽喉に炙(あぶ)った肉片があるように感じる者には半夏厚朴湯を用いる」とありますので、「咽喉のつまり」は非常に古くからみられた症状なのです。

 では、咽喉がつまるといった違和感を自覚する際にはどうすればよいのでしょうか。まず病院を受診して病的な状態の有無を診てもらう必要があります。病的な状態がみられない時には、抗不安薬や精神安定剤を投与されたりします。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 これら薬剤が有効なこともありますが、漢方薬が有効なこともあります。先に記した半夏厚朴湯はその代表的漢方薬ですが、咽喉のつまり(咽中炙臠)に対して用いられる漢方薬はこれだけではなく、抑肝散(よくかんさん)や柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、香蘇散(こうそさん)なども有効なことがあります。咽喉のつまりという症状は、気鬱という体の歪(ゆが)みが生じてきていることを示すサインです。

 さらに進行して病的な状態となる前に治療した方がよいのではないかと思います。

咽喉のつまり(咽中炙臠)に対して用いられる漢方薬
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
抑肝散(よくかんさん)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
香蘇散(こうそさん)
【参考:漢方薬に関する詳細は、QLife漢方(キューライフ)へ】
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漢方ブログ_柴原87

柴原 直利 (しばはら・なおとし)

医学博士。1960年生まれ。大阪府茨木市出身

富山大学和漢医薬学総合研究所漢方診断学分野 教授

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1件 のコメント

古方は北側の人に適応

中医ばば

柴原先生の文章を拝読しましたが、病に対して考え方は大変勉強になりました。治療に関して、選択は古方殆どです。中医の古方は黄河流域の人に適応ですが、...

柴原先生の文章を拝読しましたが、病に対して考え方は大変勉強になりました。治療に関して、選択は古方殆どです。中医の古方は黄河流域の人に適応ですが、或いは黄河流域の気候、環境に生活している方に適応です。
他の地域の気候、生活環境を異なると治療も違います。これは中医の人と自然を一緒に診るの「整体観念」、「弁証論治」です。
日本人は決まったことをまったく同じにしていくのは得意ですが、中国人はどうしても自分の考えをいれて、自己流にしていくのは好み、国民性が違います。中医は中国文化の一つなので、日本語で言わせると古方から後世方、まだ今の処方大分変化があります。
日本は決まった処方特にツムラのエキス、有効と思いますが、やはり中医の治療原則から大分離れています。
これは日本の医師制度は西洋医者しか漢方医になれないのは原因かもしれません。良い悪いではなく、中医は伝承して、発展ができると思いますが、日本は伝承は中国より進んでいますが、発展はこれからと思います。
勝手な発言で申し訳ありません。中医人の一人の思いです。

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