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墓…生前契約新たな縁生む
「いずれ一緒」深まる交流
元気なうちに人生の終え方を考える「終活」が広がるなか、墓や葬儀について備える人たちの間で、新たなつながりが生まれている。同じ墓に入る「
「墓友」仲間
「お墓が決まって安心したらだめよ。元気でいるために足腰を丈夫にしておかないと」
今月中旬、東京都渋谷区のビルの1室に女性7人が集まった。埼玉県所沢市の薬剤師、山脇洋子さん(68)の指導で、腕を伸ばしたり、ひざを回したり。月1回、中国の健康法・気功を学ぶサークルで、メンバーの多くが、ゆくゆくは同じ場所で眠る「墓友」だ。
山脇さんらが契約するのは、NPO法人「エンディングセンター」(東京)が2005年から東京都町田市の民間霊園内に設ける
同霊園内に5か所ある桜葬墓地の契約者は、約1500人。単身者や子どものいない夫婦に加え、「息子や娘に世話をかけたくない」と申し込む人も多い。
山脇さんは離婚し、息子2人がいるが「自分のことは自分で決めたい」と契約した。センターを通じて呼び掛け、08年からサークル活動を始めた。この日は終了後、仲間と墓地へ足を延ばした。
桜の木の周辺は芝生で整備され、生前契約者らが持参した花が絶えない。「ここは気持ちよく眠れそうね」という山脇さんの言葉に、一同がうなずく。一人暮らしの女性(64)は「いずれこの地に集まる仲間だと思うと、心が自然とオープンになる」。先立った夫がここに眠っている女性(67)も「家族の事情や死にかかわることも気軽に話せて、元気になる」と笑う。
このNPO法人には、俳句やウオーキングのサークルもある。理事長の井上治代さんは「核家族化、少子化で地縁、血縁が薄まる中、墓を軸に新たな縁が結ばれている」と話す。近く大阪府高槻市にも桜葬墓地を開設する予定だ。
葬祭場でも
同じ場所で葬儀を予約していることが、友人作りのきっかけになることもある。神戸市で一人暮らしの女性(76)は、毎月1回、葬儀の生前予約をしている同市の葬祭会館「ゆうあいホール」に出かける。
昨年4月から同ホールが始めた、生前予約をした人らの交流会だ。女性はここで同世代の約10人と知り合い、自宅に招いたり、一緒に旅行を楽しんだり。家族を亡くした悲しみを語り合い、どんな葬儀にしたいかを話すこともある。「この年齢で新たな友人ができてうれしい。誰が先に逝くにしても、その日まで支え合いたい」と話す。
葬送ジャーナリストの
永代供養「無縁化」で増加
樹木葬や散骨、身内だけで送る家族葬――。価値観の多様化に伴い、近年は供養の仕方も変化し、従来は家を単位としてきた墓のあり方も大きく変わっている。跡継ぎがいなくても購入でき、寺院がある限り供養してもらえる永代供養墓が増えている。
六月書房(東京)が全国の設置状況を調査して昨年10月に出版した「永代供養墓の本」(A5判、2000円・税別)では、約630か所を紹介。99年に同タイトルで出版した際は約140か所で、この10年余りで4・5倍に増えた。
背景には、家族の形やライフスタイルの変化などで、墓を守る子孫が途絶えてしまう「無縁化」がある。
第一生命経済研究所が2009年、全国の35~79歳の男女600人に行った調査によると、自分の墓が無縁墓になるかもしれないと考えている人は、「近いうちに」「いつかは」を合わせると半数を超えた。多くの人にとって、墓の継承が困難な状況になっていることがわかる。
大阪市天王寺区の大蓮寺には、永代供養墓「
同寺住職の秋田光彦さんは「自分を見つめ直したり、新たなつながりを得たりするのは大切なことだが、どこの永代供養墓でも行われているわけではない。生前交流に関心がある人は、事前に住職らに会って確かめてほしい」とアドバイスしている。
永代供養「無縁化」で増加
供養の内容や頻度、費用なども様々で、選ぶ際には慎重に検討する必要がある。国民生活センターによると、各地の消費生活センターには「永代供養料100万円を支払った後に解約を申し出たが、お布施としていただいたものなので返金できないと言われた」「預けた遺骨が、契約した場所とは違う地下室に納められていた」などの相談が寄せられている。
墓の契約者らで生前交流が行われている例 |
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・ コーラス、水彩画、囲碁など、有志による同好会がある ・妙光寺(新潟市) 毎年8月に合同供養祭を開催し今年で22回目。法要と講演会、交流会などがある ・ 年1回の懇親会のほか、写経や座禅、絵はがき作りなどのイベントを開催 ・ 毎月、葬送を中心にした学習会を開催 |
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