ドクター柴原の漢方塾
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「イライラ」は性格? イライラを改善する食生活と漢方薬
現代の日本はストレス社会とも言われており、8割以上の人がストレスを感じているとも報告されています。しかし、まったく同じ事象に対してもストレスを感じる人と感じない人がいることも事実ですし、ストレスを与えている側の多くはストレスを与えたいと考えているわけではありません。つまり、ストレスとなるか否かは、受け取る側の問題となります。
このように、多くの人が様々なストレスを感じながら生活しているわけですが、ストレスに対する反応は人それぞれで異なります。今回のテーマである「イライラ」は、ストレスを強く感じている人にみられる症状とされています。上司や部下、家族に対して、あるいは、メディアから流れる情報に対してイライラすることもあると思います。では、イライラするのは性格でしょうか。
「イライラする」という症状を訴えて病院を訪れた際、異常がなければ、心療内科や神経精神科への受診を勧められる、あるいは年齢にもよりますが、更年期症候群を疑われて婦人科や泌尿器科を勧められることが多いと思います。一方、漢方医学ではこの「イライラ」という症状を、治療を進める上での非常に重要な症候と考えています。気血水の「気」が逆行して循環している状態を気逆(きぎゃく)と呼び、イライラはその存在を示す重要な症状です。イライラした人が顔を真っ赤にして怒っている姿を想像してみて下さい。その姿が漢方医学で言う気逆の典型的な姿です。では、イライラすると感じる人は、どのように対処すればよいのでしょうか。
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漢方医学では、イライラする感情は、下へ降りるべき気が降りられずに上へ昇ったために生じると考えます。食生活では、肉食を減らして野菜中心とするとともに、香辛料を控えることが重要です。これは、香辛料には気を上に昇らせる働きのあるものが多いからです。さらに、就眠時間を早めるなど、生活リズム全般をゆっくりとしたリズムに変えることも、イライラの解消となります。また、呼吸についても、太極拳のようにゆっくりとした呼吸にすることで、気の上昇が改善します。
このような方法ではイライラが改善しない、あるいは生活を変えることは出来ないという人は、漢方薬で改善することも可能です。桃核承気湯(とうかくじょうきとう)や抑肝散(よくかんさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)といった漢方薬はイライラを主とした気逆に対して使用される代表的な漢方薬です。イライラするのは単なる性格と考えるのではなく、気逆の症状、つまり、体に歪(ゆが)みが生じた結果であると考えるべきだと思います。イライラに対処することは、単に人間関係を円滑にするだけではなく、体の歪みを是正することにもつながります。
イライラ解消の漢方薬 |
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桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
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抑肝散(よくかんさん)
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加味逍遙散(かみしょうようさん)
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【参考:漢方薬に関する詳細は、QLife漢方(キューライフ)へ】 |
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私は甘草でむくむ体質です。現在漢方の専門医に診て貰っていますが、処方される煎じ薬に甘草は入れないようにしてもらっています。私のように甘草でむくむ体質の人も多いのではと思うのですがほとんど一般に認知されていないようです。食品に甘味料として使われていたり、市販の漢方薬の半分以上にも使われているなど、ちょっと怖い事だなと思っています。甘草の副作用について、もっと一般に知られるようになって欲しいと思います。
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