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俳優 大沢樹生さん 42

一病息災

[俳優 大沢樹生さん]腹壁破裂(2)大手術「よくがんばった」

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 長男・零次(れいじ)君の誕生から3か月が過ぎた1997年4月。おなかの外側に飛び出した腸を内側に収める手術が行われた。

 手術室前の廊下。看護師が時折、無言で通り過ぎる。そのほかは水を打ったように静まりかえり、このときが永遠に続くかのように、長く感じた。心の中で何度もつぶやいていた。

 「零次にはこの世に生まれてきた役割がある。それを果たすまで、絶対に死ぬはずがない」

 手術室の赤いランプがフッと消えた。オペの開始から5時間が過ぎていた。

 ストレッチャーに乗った零次君が扉から現れた。麻酔で眠っているようだった。顔は青白かった。

 執刀医は、くたびれた表情で言った。

 「成功しましたよ」

 ホッとして、思わず全身の力が抜けた。

 「零次、よくがんばった」
思わず天井を見上げた。あふれ出る涙が鼻の奥に流れ込んできて、ツンとした。

 生後7か月目には再手術を受けた。ねじれた腸の一部を切開して、人工弁を付けるためだ。

 これも生死にかかわる大手術だった。それでも、何とか乗り切ってくれた。

 初めて我が子を抱いたのは生後11か月のときだ。とても軽かったが、ズシリと感じもした。

 「これが、命の重さというものなのか」

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sokusai_117

 
 

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