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外科の進歩で人は幸せになったか(5)腸閉塞回避には腹腔鏡

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渡辺昌彦さん 第44回万国外科学会組織委員長・北里大学医学部外科教授

渡辺昌彦さん

 腸疾患に対する腹腔鏡手術は、悪性、良性両方で広く普及しています。傷が小さいから痛みが少ないし、傷痕が目立たない。画像の拡大効果で、神経も血管もよく見えるため、精緻な手術ができます。出血も少なく、残すべき神経とそうでない神経の区別がつくので、機能も温存できます。

 おなかを大きく開いて手術をすると、手術後しばらく腸は動くのをためらってしまいます。腸が動かないでいると癒着が起こる。そうなると、一番怖いのが腸閉塞です。開腹手術ではよく起きます。

 逆に腸が動けば、食事が早くでき、抵抗力が付きますから、社会復帰も早くなる。入院期間も少ないし、医療費の抑制にも役立つお得な手術ということです。

 腸は小腸と大腸に分かれます。小腸は、栄養のほとんどを吸収する重要な臓器です。小腸の病気として一番多いのは腸閉塞。その治療のためにおなかを開けたらまた同じことが起きるので、おなかを開かずに腹腔鏡で癒着をはがします。

 病気は大腸に多く、40歳以上の女性の死因の第1位は大腸がんです。大腸の終わりのところは直腸で、そこにできたがんを切除すると、人工肛門になる可能性もあります。これも、肛門を残し、腹腔鏡手術で行える症例も増えてきました。

 しかし、腹腔鏡は、近くのものを拡大して見るのは得意ですが、全体を見るのは不得意です。そして、触感も間接的で、血が出ると非常に手術が難しくなるという弱点もあります。

 ただ、その限界を乗り越えるための色々な工夫も始まっています。IT技術を使えば、遠隔地の手術を指導することもできますし、自分の手よりも精緻に動く手術ロボットも普及し始めています。3次元の画像を映す腹腔鏡も近く実用化されると思います。

 わたなべ まさひこ 1979年、慶応大医学部卒。2003年から現職。北里研究所病院内視鏡手術センター長兼務。

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