文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

お知らせ・イベント

お知らせ・イベント

外科の進歩で人は幸せになったか(2)乳がん リンパ節生検広まる

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

木下貴之さん  国立がん研究センター中央病院乳腺腫瘍外科長

木下貴之さん

 日本の乳がん発症率は年々上昇し、現在年間発症者数は5万人超。死亡者数も年々増え、2005年は1万1000人です。

 日本では18人に1人が生涯で乳がんにかかると言われ、40~50歳代に最も多いのが特徴です。有効な乳がん検診の開発、普及による死亡率の減少が急務です。

 乳がんは、手術も含めた局所治療と全身治療を組み合わせて治します。手術は、必ず越えなくてはいけないハードル。乳房温存療法やセンチネルリンパ節生検が広がり、そのハードルは越えやすくなりました。

 乳房をすべて取るのと、部分的に取って放射線を当てるのとでは、生存率に差がなく、早期乳がんでは6割近くが乳房温存療法を選んでいます。ただ、何でも残せるわけではなく、しこりが原則3センチ以下など、指針で条件が示されています。

 がんが広がっている場合は、早期であっても全部取らなくてはいけません。見た目のきれいさが保たれない場合は、無理に温存せず乳房再建も考えましょう。

 乳がんの手術は、乳房とわきの下のリンパ節を取るというのが長年の考え方でした。しかし、リンパ節を取ると、手のむくみや腕の障害などが出ます。

 そこで近年出てきたのが、センチネルリンパ節生検という方法です。がんが最初に転移するリンパ節を1個から数個調べることによって、もっと広くわきの下のリンパ節を取るべきか判断するのです。乳房温存療法とこれを組み合わせると、体に影響の少ない手術を受けることができます。

 新しく、がんを凍らせたり、超音波やラジオ波の熱でがんを焼き殺したりする治療も試みられています。検診を受けて、早期に発見できれば、体に優しい外科治療が選択できます。治しながら、早く日常生活に復帰することもできるのです。

 きのした たかゆき 1988年、慶応大医学部卒。2010年から現職。日本乳癌(にゅうがん)学会専門医、同学会評議員。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

お知らせ・イベントの一覧を見る

最新記事