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映画監督・砂田麻美さんインタビュー全文(2)精神的にきつく、撮影中断

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がんと闘う父 娘が撮る

 ――がんの父親を撮影するのはつらくなかったですか。

 「中学生の頃から、家族の日常を撮影してきましたが、がんが分かってからは、気軽に、自然に父を撮ることはできなくなりました。告知直後は撮影をするような余裕はなく、治療が始まってから、あらためてカメラを回し始めたんですが、精神的にきつくなり、一度やめました。ただ父を最後まで撮影したいという気持ちはずっと持っていました」

 ――どうやって再開できたのですか。

 「自分が撮りたい時だけ撮る、父が撮られたくない時は撮らない、というルールを決めたんです。そもそも仕事で撮影しているわけじゃない、娘として父を見送るという感情を優先させると決めました」

 ――知昭さんが撮られたくないという場面もあったんですね。

 「それはありました。父がプライベートで友人たちと久しぶりに会う時などは、友だちとどう接して、自分のがんについてどう説明するのか、作り手としては気になるけれど、そこにカメラがあるのは、少なくとも最初の会合では嫌だろうと思うわけですね。聞かなくても、父は嫌だろうと分かるんですよ、それはやはり親子だから」

 

死を受け入れるための編集

 ――撮った後はどうするつもりだったのですか。

 「父が亡くなって3か月たち、編集を始めました。写真と違い、映像は編集をしないと、撮ったことに対する決着が着かないんです。その先に見てくれる人が何人いるかとは全く考えていなくて。とにかく一つの作品にしたかったんです」

 ――どんな気持ちで編集していましたか。

 「まだ亡くなって3か月で、夢に毎日出てくる状態。振り返れば、あの編集作業は、父の死を受け入れるための大事な喪の作業だったと思っています。人は、大事な人の死をそれぞれの方法で乗り越えていこうとしますが、自分にとっては編集がそれでした。映画館にかかるなんて思わないでやっていましたから、作品を世に問うといったプレッシャーは何もありませんでした」

 ――編集が終わり、まとまった作品を監督助手として仕えた映画監督の是枝裕和さんに見せた理由は。

 「客観的に作品がどういう位置にあるのかを知りたかったからです。被写体との距離感とか、人に訴えるものがあるかどうかとか。最初のお客さんとして見てほしかった。そうしたところ、『これは映画になる』と言ってもらいました」

 「エンディングノート」は10月1日から東京・新宿ピカデリーなど全国11館で上映。

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