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医療構造改革の課題と展望(2)制度維持へ提言

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 日本国際交流センター シニアフェロー 武見敬三さん

 我が国は、男女とも平均寿命が世界トップクラスだ。なぜ、健康な長寿社会を実現できたのか。この問いに答えるため、ランセット日本特集号では健康に関するデータを幅広く収集し、科学的根拠に基づき、精緻な分析を行った。

 日本の国民皆保険制度は、医療機関への受診機会や保険給付、患者負担額を平等にし、医療費を抑制させた。1960~70年代には、食事の塩分量を減らす減塩運動のほか、国民皆保険制度により、少ない経済負担で降圧薬を飲み続けられるようになり、脳卒中による死亡を減らすことができた。

 だが、日本経済の低迷や財政赤字、急速な高齢化などにより、国民の健康を支えてきたこの制度を維持することが著しく困難となってきた。

 東日本大震災では、高齢化が進んだ地域が被害に遭い、医師不足を抱える地域医療の在り方、財政難等の課題が顕在化した。我が国の医療制度が抱えるこの構造的な課題を確認し、災害からの復興計画とも一体となった構造改革を行うための提言につなげたい。


ランセット 1823年に創刊された英国の医学誌。最新ニュースや臨床試験などの質の高さは定評があり、研究や評論は誌上のコメントなどで厳しく評価される。1996年に開設されたウェブ版は、各国の医師や研究者など200万人以上が利用している。先進国単独で特集を組むのは、日本が初めて。

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