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映画監督・砂田麻美さんインタビュー全文(1)がんと闘う父 娘が撮る

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 父親ががん告知を受けてから亡くなるまでの約半年を実の娘が映像で追ったドキュメンタリー映画「エンディングノート」が10月から公開される。撮影・編集・監督の砂田麻美さん(33)は、どんな思いでがんの父の映画を作ったのだろうか。

砂田麻美(すなだ・まみ)
 1978年、東京都生まれ。慶応大在学中からドキュメンタリーの映像作品を制作。大学卒業後はフリーの監督助手として、是枝裕和監督らの映画制作に参加。「エンディングノート」が初監督作品。

 

冷静にがんと向き合った父

 ――父の知昭さんの胃がんはいつ見つかったのですか。

 「2009年5月頃です。40年以上勤めた化学メーカーを退職し、第二の人生を楽しんでいるところでした。見つかった時には、すでに肝臓に転移した進行がんの状態で、手術はせず、抗がん剤の治療を受けました」

 ――知昭さんは、がんにどう向き合おうとしていましたか。

 「どうせ治らないという態度でもなく、死にものぐるいでがんを体から追い出すぞ、という感じでもなく、冷静に仕事に取り組むような感じでした」

 ――落ち込んだような時期はありませんでしたか。

 「知る限りではなかったですね。少なくとも家族が見ていて、『お父さんがすごく落ち込んでいる』という時はありませんでした」

 ――周りの家族のほうが慌てているという感じなのでしょうか。

 「そうですね。一堂に会した時は皆変わらなかったのですけれど、母や姉、兄、私など一人ひとりは、ものすごく悩んでいましたね」

砂田麻美さんの父親、知昭さん(映画「エンディングノート」から)

 ――知昭さんは、なぜそんなに冷静でいられたのでしょう。

 「それは分かりません。死に臨む最終段階で今まで見たことがないような父の側面があらわになってくるんじゃないかと思っていましたが、最期まで変わりませんでしたね」

 ――タイトルになっているエンディングノートは、葬儀や埋葬方法、財産について、家族にあてて希望などを書き留めておくものですね。知昭さんはいつごろ書いたのですか。

 「がんが分かって1週間後くらいです」

 ――なぜそんな早い時期に。

 「基本的には性格だと思います。家族に引き継ぎがうまくいかない心配のほうが本人にはストレスだったのではないでしょうか。ただいつ死が訪れるかは、もちろん本人にもまったく分からないことだったと思います」

 「エンディングノート」は10月1日から東京・新宿ピカデリーなど全国11館で上映。

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