文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](18)「困った症状」の理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 認知症の人のケアにあたっている家族や職員の方から、「最近、何かと大声でどなる。静かにさせる薬を出してください」と言われることがあります。こうした訴えにどう対応したらよいのか、私は悩みます。

 こんな経験があります。長年たまっていた耳あかを取ったら、大声を出さなくなった。イライラしている時に便秘の薬を出したら、穏やかになった。ケアにあたっている職員が態度を改めたら、どならなくなった……。枚挙にいとまがありません。

 診療の中でこうした経験を重ねるうちに、困った症状の原因の多くは、実は、体調不良や薬の副作用、人間関係の悪化などによるのではないかと思うようになりました。そして、より根本的な問題として、孤独や不安、また、生きがいや誇りの喪失があることにも気付かされました。もしそうであれば、それらが解決されれば、困った症状もなくなるわけです。

 大声でどなるからには、それなりの理由があるのでしょう。静かにさせる薬を使う前に、その原因についてよく考えてみることが大切です。

 目的によっては、薬が一時的にでも有効な場合があります。そんな時、薬を飲む人が意見を言えたら、処方するか否かの判断はずっと楽になります。でも、その裏に、どなられると困る人たちがいるのも事実です。

 「誰が、誰のために」薬を望んでいるのかの見極めが重要です。ただ、現場では、この「誰のために」が揺れ動くことが多いのも事実です。

 どなる人とどなられる人の心の奥に潜む要求に挟まれて、私はその対応に深く悩むことになるのです。

 どちらの立場にせよ、明日は我が身。皆さんならどうしますか?(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

いきいき快適生活の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事