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性格…遺伝と環境、「らしさ」作る

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 十人十色といわれる人の性格。性格はいったい、どのように作られていくのだろう。(利根川昌紀)

大人も努力で変えられる

お互いに性格は異なると話す一卵性双生児の草地未奈美さん(左)と歩奈美さん(右)。真ん中は母親の幸祐美さん=中嶋基樹撮影

 東京都練馬区の草地(くさち)未奈美(みなみ)さん(21)と歩奈美(ほなみ)さん(21)は一卵性双生児。母親の幸祐美(さゆみ)さん(48)は「洋服やおやつ、抱っこの時間まできっちり同じにして育ててきたのに、姉の未奈美はおとなしく、妹の歩奈美は友達の輪の中心にいる感じ。双子でもこんなに性格が違うなんて不思議です」と笑う。

 2人は中学校までは同じ学校だったが、その後は別々の高校に進学。今は未奈美さんは声優の養成所、歩奈美さんは大学に通っている。

 未奈美さんは「引っ込み思案でしたが、アルバイト先でリーダー役を任され、自信がつきました」と話す。

 歩奈美さんも「大学では自分の意見をはっきり言う友人が多く、以前よりも自分を主張できるようになった気がします」と振り返る。

 いったい、人の性格とは何なのだろう。

 聖心女子大教授(人格臨床心理学)の鈴木乙史(おとし)さんは「それぞれの人が持っている思考や行動の傾向のこと」と説明する。「派手や地味、優しい、冷静など、服装や態度などによって表れる、誰が見てもその人だと分かる性質のことです」

 性格研究の分野では、性格を五つに分類する考え方(別表)もある。

 では、性格はどのようにして作られていくのか。多くの専門家は、遺伝と環境の影響が大きいと指摘する。

 千葉大子どものこころの発達研究センター長で精神科医の清水栄司さんは「神経伝達物質にかかわる遺伝子が性格形成の一端を担っていると考えられている」と話す。

 脳で働くこの物質には、心を安定させる「セロトニン」や、行動の動機付けとなる「ドーパミン」などがある。心配性や不安になりやすい人はセロトニンが、好奇心が強い人はドーパミンが関わり、それぞれ遺伝的に決められているとする海外の研究報告もある。

 清水さんは「性格と神経伝達物質との関係は不明な点が多いが、遺伝と環境の相互作用で形成されることは否定できない」と指摘する。

 一方、鈴木さんは「人は常に物事を考え行動していて、その中でだんだんと性格が作られていく」と環境面を強調する。

 10歳ぐらいになると、他人からどう見られているか意識し、学校の友達などと比べて自分の行動はおかしくないかなどと考え、思考や行動を修正する。修正を繰り返す中で、成人する頃までに、その人らしい性格が固まってくる。

 鈴木さんは「最近の研究では、家族の人間関係よりも、学校など過ごす時間が長い環境の人間関係の方が、性格に及ぼす影響が大きいと考えられている」と説明する。

 大人になっても性格は変えられるのか。鈴木さんは性格を形成する三つ目の要素として「主体的な努力」を挙げる。身に付いた性格も、自らの努力と、出会った人間関係によって変えることは十分可能だという。

 鈴木さんは「悩みを抱えた時などに親身になって話に耳を傾け、助言してくれる人がいると、発想を転換でき、ものの考え方を変えるきっかけをつかめる」と話している。

性格の分類
 性格研究の分野では、性格を五つに分類する考え方がある。
〈1〉心配性、悩みがちか
〈2〉活動的、積極的か
〈3〉機転がきき、洞察力があるか
〈4〉優しく、温和であるか
〈5〉責任感が強く、真面目か――。
この分類は性格テストなどでも用いられている。
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