ものまねタレント コロッケさん 51
一病息災
[ものまねタレント コロッケさん]難聴(2)鼓膜なくなっても自覚なし
中耳炎を放置したことで、小中学校時代は痛みや悪臭のする耳だれに悩まされ続けた。中学2年生になると新聞配達を始めて忙しくなり、ますます病院に足が向かなくなった。
夏休み前のある日。教室で突然、これまでに感じたことのない激痛が右耳を襲った。ようやく行った病院で、「真珠腫性中耳炎」と診断された。
中耳炎が悪化することでへこんだ鼓膜にかすがたまり、白いできものが真珠のように膨らむ病気だ。炎症を起こしたこのできものが、耳の組織や骨を壊し、脳まで侵すこともある。
診断を受けた時には、右耳はほとんど聞こえない状態だった。既に鼓膜はなく、聴覚をつかさどる「蝸牛」という組織も元の形をとどめていなかった。
「徐々に聞こえなくなったので、自分でも意識していなかったんです」
医師に「早く手術しないと、死ぬよ」と言われ、夏休みにできものを切除し、足の皮膚を鼓膜代わりに移植する手術を受けた。聴覚はほとんど戻らなかった。
「最初はショックでしたが、左耳は聞こえるんだからいいかって。気持ちの切り替えは早かった。貧乏生活が長かったので良い意味であきらめが早いんです」
教師や友人にも、病気や手術のことは言わなかった。「言ったところでどうなるわけでもないし」。気を使われるのもいやだった。
【関連記事】