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小児科医・浦島充佳さんインタビュー全文(2)基準守られれば、チェルノブイリほど甲状腺がん増えない

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 ――福島第一原発事故の影響は、チェルノブイリから学ぶものが多いとお考えです。

 浦島 事故後、チェルノブイリの事故だけでなく、原子力施設の周辺の健康影響など放射線に関する論文を読み直しました。論文になっていても、科学的には証拠が十分と言えないものもあり、精査しました。

 チェルノブイリ原発事故の結果、増えたのは子どもの甲状腺がんだけでした。放射性ヨウ素131が牛乳に混ざっていたことが主な原因ですが、旧ソ連の出荷制限基準値は、1キログラムあたり3700ベクレルで、しかも基準値を超えた原乳は粉ミルクを含む乳製品に回されました。日本の基準は10分の1以下の同300ベクレル、粉ミルクは同100ベクレルであることを考えると、これらの基準がきちんと守られていれば、日本では将来、子どもの甲状腺がんはチェルノブイリほどには増えないと思います。

 また、チェルノブイリの原発事故では、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアで2005年までに18歳以下の6848人が甲状腺がんになりましたが、亡くなったのは15人(0・22%)で、残りは生存しています。がんと聞くと「もうだめだ」と思いがちですが、甲状腺がんを発症した子どもの99%以上は治っています。

 また、先天奇形についても明らかな増加はありませんでした。

 ――チェルノブイリ原発事故は、まだ25年しかたっておらず、今後、何らかの影響が出てくるかもしれません。

 浦島 その可能性はあります。広島・長崎の原爆追跡調査では、25年たったころからがんの死亡が増え始めましたが、チェルノブイリではそうした兆候は見えていません。広島・長崎の調査からは100ミリシーベルトで1%程度のがんが増えると推計されていますが、福島第一原発事故で周辺住民の被曝量は今の状況のまま、放射線が減っていけば、外部被曝と内部被曝を合わせても100ミリシーベルトには達しないと思います。(つづく)

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