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育てた医師たち 震災で活躍

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第38回受賞 井清司(い・せいし)さん

 熊本赤十字病院(熊本市)の救命救急センターは、症状の軽重にかかわらずすべての救急患者を受け入れる北米型ER(救急治療室)として知られる。井清司さん(61)は同センター長兼集中治療部長として、年間受け入れ数6万人の過酷な現場で指揮を執る。元々の専門は外科で、熊本県初の死体腎移植や脳死腎移植を執刀するなど腎臓移植の普及にも尽力してきた。

 熊本大医学部を卒業後、当時では珍しい、複数の科を回って研修する沖縄の病院に研修医として勤務。離島に派遣され、様々な症状を一人で判断して解決できる総合力を身につけるよう努めてきた。

 「自分で判断しなければならない状況は、救急や災害現場も同じ。守備範囲の広い医者を育てたい」

 そんな思いで、沖縄の病院をモデルにした研修制度を熊本赤十字病院に導入、若い医師の育成に力を入れてきた。指導した医師たちは、東日本大震災の被災地で活躍したという。

 災害医療の経験も豊富だ。阪神・淡路大震災を始め、台湾やインドなど海外の被災地でも救護活動を行い、今回も4月上旬、石巻赤十字病院(宮城県石巻市)に応援に入り、全国から来た医療班全体の業務の調整などに当たった。「災害救護には、被災地全体の医療情報を把握して適切な指示ができるような仕組みが不可欠」と力を込める。

 電気や水などライフラインの崩壊、避難所の衣食住や衛生環境など、医療以前の問題も浮かび上がり、「迅速に対応できるよう、あらかじめ自治体間などで協力体制を構築しておくことも重要だ」と指摘する。

 復興のための、第一の目標は「地域医療の自立」と考えている。「被災地域の人たちが互いの結びつきを維持して、助け合うことの重要性も再確認できた。円滑に自立できるよう、被災地の医療関係者とよく話し合いながら、私たちも支援し続けていきたい」(熊本支局 大田裕一郎)

 医療功労賞の詳細は、ホームページ(http://event.yomiuri.co.jp/2011/iryo-40th/)に掲載されています。

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