ものまねタレント コロッケさん 51
一病息災
[ものまねタレント コロッケさん]難聴(1)「お金がかかる」中耳炎放置
美川憲一からマイケル・ジャクソンまでレパートリーは300人以上。本物を知らない世代でも楽しめる独創的な形態模写が真骨頂で、長年、ものまね界のトップに君臨してきた。
実は子どものころの中耳炎が原因で、40年近く右耳がほとんど聞こえない。2年前に初めて公表した。
「自分の中では当たり前のことだったので、わざわざ話すことでもないと思ってました。でも『ものまねやっているのに耳が聞こえないなんて!』とすっかり大事にされちゃって」
事も無げに語るその瞬間も、右耳には水中に潜った時のようなこもった音が響くだけだ。
最初に中耳炎になったのは、熊本市に住んでいた小学校2年生の時だった。水泳が好きで、夏は市営プールに通う毎日。痛みや耳だれが出て病院に行くと中耳炎と診断された。治療後も何度もぶり返し、いつしか病院に行くのをやめた。
「うちが貧乏だったので、お金がかかると思って気を使ってしまったんです」
生まれてすぐに両親は離婚した。風呂なしの家に住み、米びつに米がないこともしょっちゅう。一つ年上の姉と自分を育てるために働き詰めの母に、治療費で負担をかけたくなかった。
「まさかそんなにひどくなるとは思わなかった」
放置した中耳炎は、徐々に母親思いの少年の耳の奥をむしばんでいった。
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