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年金教育、高校生にも

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信頼回復、納付率アップへ

 国の年金制度に対する信頼が揺らぎ、国民年金保険料の納付率も下落傾向が続いている。年金の大切さを知ってもらうため、年金教育の必要性が再認識されている。(内田健司、写真も)

年金委員に研修

 兵庫県尼崎市で7月上旬、厚生労働相から委嘱を受けた「年金委員」を対象とする研修会が開かれた。年金委員は制度の普及・啓発を目的に、2010年1月の日本年金機構発足に合わせて法律で定められた制度。この日は、市内の企業に勤める約20人が参加した。

 研修では尼崎年金事務所の足立悟所長らが、年金記録をインターネットで確認できる「ねんきんネット」の利用方法などを説明。参加者は熱心に聞き入り、「同僚から年金のことをよく質問されるので、こういう機会は大事だ」などと話していた。

 年金委員には、企業の総務部門などで働く「職域型」と、個人で活動する「地域型」があり、全国で約12万8000人(3月時点)。

 地域型の委員の間で、自発的な取り組みも始まった。民主党が事業仕分けで年金教育関連予算を削ったことなどに危機感を抱く有志が、神奈川県と千葉県で、県単位の年金委員会を設立。ボランティアで年金広報誌を配布したり、学校での講演を計画したりという活動を始めている。

 委員会に参加している千葉県習志野市の元高校長、樫村一之さん(67)は、「校長を辞めてから年金のことを学んだが、自分も受給者になり、年金の大切さを感じている。なくてはならない制度だということを、きちんと伝えていきたい」と話す。

「保険料払う方が得」

 国民年金の納付率が全国最低で、就職内定率も低い沖縄県では、地元のファイナンシャルプランナー(FP)による「金融&将来設計講話」が注目されている。

 講師の高橋賢二郎さん(40)は、三菱商事から転身し、4年前に沖縄でFP事務所を開業。講話は高校3年生が主な対象で、今年に入り県内11校で実施した。

 高橋さんは講話の中で、安易に非正規労働者を選択すると、転職を繰り返すことが多く、正社員への道が狭くなることなどを分かりやすく説明する。

 年金について特に強調するのが、自営業者や非正規労働者などが加入する国民年金の大切さだ。国民年金には老後の年金だけでなく、遺族基礎年金や障害基礎年金など、いざという時に備える生命保険のような保障があることを力説する。

 話を聞いた高校生からは、「保険料を払う方が得だと分かった」というアンケートの回答が目立つという。

 高橋さんは「生徒に分かりやすく話すことで、その親にも伝えることができる」と手応えを感じている。

背景に世代間格差

 ただ、こうした現場の取り組みには限界もある。

 国民年金の保険料納付率は、若い世代が目立って低い。後に生まれた世代ほど給付と負担の両面で不利になる「世代間格差」などが背景にある。

 厚労省は近く、社会保障教育を充実させるため、有識者による検討の場を設ける考え。だが、制度の内容を周知するだけでは、年金不信を取り除くことは難しい。年金制度そのものの改革も急ぐ必要がある。

国民年金保険料納付率の上位、下位5都府県(2010年度分)
〈1〉島根70.8%
〈2〉新潟70.8%
〈3〉福井70.3%
〈4〉富山69.4%
〈5〉山形69.4%
……
《43》東京56.2%
《44》長崎55.8%
《45》福岡55.8%
《46》大阪50.5%
《47》沖縄37.8%
※順位は四捨五入前の数字による


情報収集に役立つサイト
◆日本FP協会(http://www.jafp.or.jp/)は、ホームページ上で「くらしに役立つマネークイズ」など金融経済教育に関する情報を公開している。
◆日本年金機構のねんきんネットサービス(http://www.nenkin.go.jp/n_net/)では、最新の加入記録が閲覧できる。見込み額試算も、秋以降充実する。
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