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いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](17)輝き続ける文才

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 認知症の診療にあたっている医師仲間で、最近、「自分は認知症ではないか」と不安になって自身で受診するケースが増えている、という話になりました。

 これまでは、ご家族などが困って認知症のご本人を連れてくる、というケースが大半でした。暴力や暴言がひどい、徘徊(はいかい)をするなどの訴えに対し、私たちも、ある時は症状の原因となる薬や体のことを調べて対応し、またある時はどうご本人と接したらよいのかをご家族とともに考える、といったことをしてきました。

 こうした医療ニーズは今もたくさんありますし、今後もあるでしょう。ただ、「自分は認知症ではないか」「認知症が進行したらどうなるのか」という不安を抱えたご本人からの問い合わせも、多くなってきたということなのです。

 ここ数年、認知症のご本人が書き留めた手記やブログを読む機会があります。皆さんの中には、認知症になると頭が悪くなると思っている方がおられるかもしれませんが、想像に反して、優れた文才のある人は認知症になっても優れた文章を書き続けるというのが私の実感です。たとえ、誤字脱字が増えても、文章の基本構造が崩れてきたとしても、です。まさに、人の心をとらえるような文章です。認知症を抱えることにより、一層、輝くような文章を書かれる方もいます。

 認知症になると、自分が壊れてしまうという絶望感に襲われがちです。それで不安になって受診する人も増えているようです。ですが、文章の例で示したように、すべてできなくなるわけではありません。最期まで、自分が人生の主人公のままで生きていけるように、人生のごく普通の一つの過程として受け止められるような世の中になるとよいなあと思います。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

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