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作家・眉村卓さんインタビュー全文(3)「自分は生きている」から始めよう

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 ――奥様を失った喪失感を、どうやって埋めていったのですか。

 眉村 関西には「日にち薬」という言い方があります。どんな悲しみや苦しみも、月日がたてば乗り越えられる、という意味です。ただ、私の場合は、立ち直って元の自分に戻ったというよりは、新しい自分になっていったという感じですかね。ピースが欠けたジグソーパズルが、小さくなって固まるというか。物書きであることも、心の整理に役立ったかもしれません。

 ――映画「僕と妻の1778の物語」はご覧になりましたか。

 眉村 3回見ました。2時間20分もあるので大変でした。家内が死んで9年もたつし、主人公夫婦を演じた俳優さん(草彅剛、竹内結子)が若いので、自分たちとは全く別の時代の別の夫婦のようでした。妻はあの世で「私のおかげで映画になった」と威張っているかもしれません。

とことん悲しんだ後、ゆっくり前へ

 ――東日本大震災では、たくさんの人が大切な人をうしないました。心を立て直すためのアドバイスをいただけますか。

 眉村 私の場合は、家内の病気が分かってから死ぬまでにそれなりの時間があり、心の準備もできました。しかし震災では、突然、目の前からいなくなったわけで、そちらのほうがショックは大きいんじゃないかと思います。そういう方に、うまいアドバイスなどできません。

 あえて言うとすれば、「自分は生きている」ということから始めるしかないんじゃないでしょうか。大事な人を亡くすのはとてもつらいことで、考えないでおこうとすれば、いつまでも後を引く。悲しむ時はとことん悲しんだほうがいいと思います。でも、悲しむことは一種の機能停止です。生きている限り、止まったままではいられない。悲しみに耐える中で、少しずつでも楽しみを見つけるようにしたらどうでしょう。そうしているうちに、立ち上がり、前に進む力が戻って来るのではないかと思います。(おわり)

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