文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

教えて!yomiDr.

ニュース・解説

突然の心停止にAED…電気ショック、心拍を回復

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 今月4日、サッカー元日本代表の松田直樹さんが、急性心筋梗塞で亡くなる痛ましい出来事がありました。自動体外式除細動器(AED)が近くにあれば命が助かった可能性もあると言われています。AEDについて教えてください。

 ――AEDはどうして心臓の機能を回復させることができるのですか。

 心筋梗塞などで突然心臓が止まった時は心臓で「心室細動」が大抵、起きています。血液を全身に送り出すポンプの役割を果たす心室が不規則にけいれんする症状で、ポンプ機能が失われて血液を全身に送れず、意識も失います。

 放置すればほぼ確実に死に至りますが、心臓に電気ショックを与えて細動を取り除く「除細動」を行えば、元のポンプ機能を取り戻す可能性があります。AEDはそのための電気ショックを与える装置です。以前は医師や救急救命士ら専門職しか使ってはいけませんでしたが、2004年以降、誰でも使ってよいように制度が変わりました。

 ――どんな人に使えばいいのですか。

 突然倒れ、声をかけても反応がなく、呼吸をしていない人です。このような人がいたら、まず119番に電話して近くにAEDがあれば、ただちに使ってください。準備ができるまで間があれば、心臓マッサージもしてください。

 ――命が助かる確率はどれくらいですか。

 突然の心停止を起こした場合、1分後にAEDを使えば救命率は90%、2分後なら80%、というふうに1分ごとに10%ずつ低下します。できるだけ早くAEDを使うことが大切です。

 ――どこにありますか。

 医療機関のほか駅、市町村役場、公共施設などで設置が進んでいます。公共の場所での設置台数は昨年末時点で全国で約25万台だそうです。

 設置場所の多くにはAEDという赤い文字とハートマークの標識が掲げられ、収納容器に収められています。見かけたら覚えておきましょう。

 ――使い方を全く知らなくても大丈夫ですか。

 操作は簡単ですが、近くの消防署などで講習を受け、使い方を学んでおくとよいでしょう。収納容器から取り出して電源ボタンを押すと音声案内が流れるのでそれに従って操作します。

 電極パッドを患者の胸に貼り付けると、機械が自動的に心臓の状態を読み取り、心室細動が起きていると判断すれば「除細動ボタンを押してください」と音声が流れます。その際、自分も含めて誰も倒れた人に触れていないことをよく確認してからボタンを押してください。もし触れていれば、その人にも電気が流れてしまう恐れがあります。

 ――不要な人に誤ってAEDを使ってしまう心配はありませんか。

 心室細動が起きていないと機械が判断すれば「ショックは不要です」と音声が流れます。その場合、仮に間違ってボタンを押しても電気は流れません。

 ――松田選手の教訓はどんなことでしょうか。

 AEDに詳しい東京都済生会中央病院心臓病臨床研究センター長の三田村秀雄さんは「スポーツは心臓への負担がかかり、普段よりも突然の心停止がおきやすくなる。スポーツの現場にもっとAEDを普及させる必要がある」と話しています。

 松田選手のチームが所属する日本フットボールリーグ(JFL)は試合会場や練習場へのAED設置を決めました。国もAEDを積極的に活用するようスポーツ団体に促す方針です。(竹内芳朗)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

教えて!yomiDr.の一覧を見る

最新記事