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日野原重明の100歳からの人生

介護・シニア

映画 『神様のカルテ』

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 私は新作の映画のコメントを頼まれ、忙しい中に時々試写会に出かけることがある。

 ここで取り上げるのは、本屋大賞で話題になり、100万部も売れたという感動小説(医師の夏川草介原作)が8月27日に東宝系映画館で封切られる『神様のカルテ』である。

 監督は演出力に定評のある深川栄洋さん、主役は信州の地方病院に内科医として勤務する櫻井翔さん(役名・栗原一止いちと)、その妻で風景写真家の宮崎あおいさん (役名・栗原榛名はるな)、この二人の初共演で映画化されたものである。

 医師不足の時代に、24時間365日体制で救急患者を受け入れている病院に勤務する主人公の栗原医師は、寝る時間も十分とれず、彼を頼って入院してきたがん末期患者の主治医として、最高のケアを提供している。しかし、彼の能力を高く評価する信州大学医学部教授にその才能を認められ、最先端の医療を学べる大学病院に勤務しないかと強く誘われる。彼の勤務する病院の先輩や同僚からは、それを受けることを強く勧められる。妻の榛名は夫の激務を温かく支えつつも彼が信念を貫く行動を認め、彼もまた静かに自分を支えてくれる妻に感謝している。

 病む人は本当に自分に寄り添ってくれる医師を求めている。患者にとっては、心の通う医師の提供する医療こそは「神様のカルテ」と呼びたいものがある。患者に寄り添い、死にゆく患者をケアしつつ、妻との深い信頼関係を築いていく、これらは至難の業だが、若き医師である主人公はそれをよく果たし、大学病院からの強い誘いに対してはそれをまったく受け入れようとはしない。

医療の現場、リアルに表現

 この映画を見たのち、私は、深川監督と主役医師を演じた櫻井さんと三人で30分間対談した後に、白衣のまま試写会に出席した看護師さんをまじえて質疑応答を30分間行った。

 私は70年余の内科医としての経歴とそれを通して体験したことを話し、この映画へのコメントを述べた。日本人はがんなど病気に関する解説書などは読む人が多いが、医療の場で働く人たちの喜びや悩み、 とくに地方病院での医師の激務の様子やそこから医師は何を学び成長していくのか、また忙しい医師を支える医師の妻の陰の働きなど、更に現場の医師が看護師とどんなに協力したり、時には反発して働いているかの実情がリアルに表現されている。その様子をこの映画から知ってほしいと思う。

医師と患者の心の絆、感動的に訴える

 非常に優れた外科医の手技を「神の手」と表現したりすることがあるが、この「神様のカルテ」で表現される内容こそは、医師と患者との心の絆を感動的に訴えてくれるものと思う。また、辻井伸行さんが作曲と演奏するテーマ曲もまた見事である。

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日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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