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いきいき快適生活

介護・シニア

力を抜き、体の「癖」を取る

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 スポーツジムに通い、懸命に体を動かして汗を流す。そうしたエクササイズは「続かない」という人も多いのでは。体の力を抜き、ゆったりとした動きで筋肉をほぐしていくトレーニングがあるという。(生活情報部 内田淑子)

コンディショニングトレーナー 有吉与志恵さん

肩の力を抜くトレーニングを指導する有吉さん(左)。自宅では、鏡の前で行うと体の動きがよく分かるという(東京・港区で)=立石紀和撮影

 「いつも同じ姿勢でパソコンに向かったり、バッグを持ったりしていませんか。日常の動作にはどうしても癖がでてきます」。そう話すのは、東京都内のジムなどで、スポーツ選手から高齢者まで幅広く指導にあたっている有吉与志恵さん。

 「癖」の積み重ねで、「使う筋肉」と「使わなくなっている筋肉」の違いが生じ、「張りや凝り、バランスの悪さにつながっている」という。

 有吉さんが提唱する「コンディショニングトレーニング」の基本は、体の癖を取るために力を抜くこと。それから肩や首、膝などの関節をゆっくり小幅に動かす。

 脱力した状態で、関節の曲げ伸ばしや回転などを「ごく小さく」行うと、関節の可動域が広がるという。「リハビリで取り入れられている考え方の応用です」。筋肉や関節本来のスムーズな動きを取り戻すことから、体を調整する(コンディショニング)トレーニングと呼ぶそうだ。

首の後ろ側を両手の指で軽く押さえる。小さく横に振ったりうなずいたりすると効果的だ
膝の脇に手を添え、膝を軽く持ち上げてストンと落としたり、左右に振って揺らしたりする
足の指の間に手の指をはさみ、足首をぐるぐると回す

 まずは肩の力を抜くトレーニングから。楽な姿勢で立ち、右肩の上に左手を添え、頭を右肩の方にゆっくり倒す。右腕はそのままだらりと垂らし、前後にブラブラと小さく揺らす。左側も同様に行う。「最初は脱力するのが難しいかもしれませんが、ふっと、腕の重みだけで自然に揺れていると感じる瞬間があるはずです」

 「力を抜いて」と思っても、意識しすぎるとかえって力んでしまう。そんな時は上半身を前に倒し、お辞儀の姿勢を取ると力が抜けやすいという。

 トレーニングは回数や時間よりも、スッと力が抜けたと感じるようになるまで行うのが目安。肩の動きが軽く、滑らかになるそうだ。「余計な力を抜くと、姿勢がよくなる効果もあります」

 また、こわばっている部分をほぐすだけでは不十分だという。「腕の筋肉は、首の下、鎖骨周辺の筋肉ともつながっています。そうしたことを意識し、全身の自然な動きを取り戻していきましょう」

 首のエクササイズは、両手の指の腹を首の後ろに当て、小さくうなずいたり、頭を左右に振ったりする。

 脚がだるい時は、床に座って片方の膝の脇を両手で持ち、脚を軽く持ち上げたり下ろしたり。足指の間に手の指を入れて持ち、足首を回すのも手軽にできてお勧めだ。

 東日本大震災の被災地でも、避難所でトレーニングを指導した有吉さん。座ったままの姿勢が続き、膝や足首が硬くなっていたという高齢者から、「脚を楽に動かせるようになった」と言われたという。「日頃の癖や姿勢を見直しながら、普段の生活に取り入れてみてください」

ハーブティーも効果的

 「トレーニングは、夏でも体を温めてから行う方がお勧め」と有吉さん。血行をよくすることで、筋肉をより動かしやすくなるという。

 例えば足浴。ふくらはぎのあたりまでお湯に10分ほどつけると、体全体をしっかり温めることができる。温かいハーブティー=写真=を飲むのも効果的だ。カモミールやローズマリーのほか、ショウガやシナモンなどのスパイスをブレンドしたものも市販されている。「夏は冷たい飲み物を取る機会が増え、意外と体が冷えています。1日に1度くらいは、温かいものを選んで」と有吉さんは勧めている。

ありよし・よしえ
 北九州市生まれ。日本体育大学卒。在学中は陸上・短距離選手として活躍した。フィットネスクラブの指導者などを経て、1994年から、ジムの運営や自ら提唱するコンディショニングトレーニングの指導者育成などに取り組む。NPO法人「日本体調改善運動普及協会」会長。著書に「40歳からの肉体改造」(ちくま新書)、「ブレスダイエット」(講談社)など。
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