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茂木健一郎さん「カレーで“脳の司令塔”活性化」

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基調講演をする茂木健一郎さん

 カレーの魅力を科学的な視点で捉え直す「カレー再発見フォーラム」が7月26日、都内で開かれました。脳科学者の茂木健一郎さんが「脳科学からみたカレーのチカラ ~国民食“カレー”は、脳に何を刻み、何を刺激しているのか~」と題して基調講演。続いて、フリーアナウンサーの八塩圭子さん、ハウス食品ソマテックセンター・スパイス研究室長の鳴神寿彦さんとの鼎談(ていだん)が行われました。

 フォーラムの詳しい内容をご紹介します。最初に茂木健一郎さんの基調講演です。

 主催:カレー再発見フォーラム

 後援:ハウス食品、公益財団法人浦上食品・食文化振興財団

 試験協力:センタン

脳科学者 茂木健一郎
 脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程を修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組む。
 2005年、「脳と仮想」で、第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、「今、ここからすべての場所へ」で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。主な著書に「脳とクオリア」「生きて死ぬ私」「心を生み出す脳のシステム」「脳内現象」など。


カレーと天才数学者の関係は?

このような試験プロセスを行い、22か所の血流を計った

 インドの人は長い間カレーを食べ続けています。そして、インドからは天才数学者がたくさん出ている。この2つのことは関係していると思いませんか? 今日は脳科学の視点からカレーのお話をします。

 今回、カレーが脳に与える影響を比較するため、約1か月かけて実験を行いました。被験者がカレーと比較食をそれぞれ摂取し、作業記憶と視覚探査を必要とするテストを行った結果、前頭葉の脳血流の変化と課題の作業効率に違いが見られるかどうかを検討しました。

 実験には比較対象が必要です。比較食には、カレーからスパイスを抜いた煮込み料理を使いました。実験方法は被験者に負担の少ないNIRS(近赤外分光法)を採用。脳に近赤外線を照射することで、血液の流れがどのくらい増えたかがわかる方法です。

 実験の結果、カレーと比較食で酸化ヘモグロビンの値に大きな違いが出ました。これは、カレーの香りをかいだことで、脳の司令塔である「背外側前頭前皮質」が活性化したことを示します。

カレーを食べるとIQが「7」上がる

NIRSデータ:香りをかぎ、ひと口食べたとき、脳の司令塔が活性化している

 NIRSデータを見ると、カレーの香りをかいだときとひと口食べたとき、明らかに酸化ヘモグロビンの値が上がっています。ということは、ニューロンがよく活動している。少し説明すると、ニューロンが活動するとエネルギーが減るので、酸素をまた持ってこなければいけない。そのために血液が流れ、値が高くなる。つまり、脳が活性化しているということなのです。

 また、被験者がカレーの香りをかぎ、ひと口食べた後でテストに挑戦すると、平均回答時間が約380ミリ秒(約0.4秒)速くなりました。カレーの香りによって脳が活性化しているだけではなく、実際に課題がよくできるようになったということです。

 制限時間の中で何問解けたかの指標を作り、IQに換算したところ、カレーを食べた人は比較食に比べてIQが「7」も上がっていると考えられます。

 今日ご紹介したのは、あくまでもカレーの効果の一部です。お母さんがカレーを作り、食卓でみんなで囲んで食べたり一緒に作ったりして幸せな気持ちになることも、カレーが脳に与える効果の一つです。今回は科学的見地からスパイスが脳に与える効果を実験しましたが、カレーは文化。カレーが脳に与える効果と言うのは非常に豊かで総合的なものだと思います。

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