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いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](16)想像力を働かせる大切さ

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 ドキュメンタリー映画を撮り続けている伊勢真一監督と、先日、話す機会がありました。

 監督は「次の場面に進む前に、画面が真っ暗になることがありますが、あれも、映画の大事な一部なんです」「見えないものを見、聴こえない音を聴くことも映画なんです」と話されました。

 その言葉を聞いて、私はハッとしました。私は、認知症の方のご自宅へ診療にうかがっています。玄関で迎えてくれた方々が礼儀正しく対応され、どの方がご本人かがわからない時もあります。しかし、現実には困った問題があるから、診療の依頼があるわけです。

 ですので、我々は必死に、目の前にいるご本人やご家族の様子から、何に困っているのか、誰が困っているのか、情報を集め、解決の糸口を探ろうとします。そうして探っていくと、困っていることの大半は、人と人との関係性であったり、生活していく上での困難さであったりします。

 認知症の診断は、認知症医療に専ら従事していれば、ある程度行うことができます。しかし、人間関係や、生活上の大変さは、我々が対面して見えている部分だけではなかなかわからないのです。見えないものを見、聴こえない音を聴き、その奥にあるものを想像する……。伊勢監督の言葉から私が感じ取ったのは、そういった認知症医療のありかたです。

 診断や治療といった、これまでの医療的な枠組みはもちろん大切ですが、認知症による生活の困難さを減らすには、それだけではうまくいきません。医療基盤に支えられた生活支援が重要で、その支援のあり方は、医師や看護師、ケアに関わる人々だけでなく、ご本人やご家族を含めた総力戦だということに、改めて気づかされました。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

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