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どうなる栄養成分表示(上)全ての加工食品 義務化へ
栄養成分表示のあり方を議論してきた消費者庁の検討会は20日、原則すべての加工食品でナトリウムなどの成分表示を義務づけることを求める報告書をまとめた。これをもとに、同庁は来年度、新しい法律案をつくり、国会に提出する方針。食品成分表示をめぐる課題を考える。
トランス脂肪酸は先送り
現在の健康増進法では、食品に「カロリーオフ」「塩分控えめ」など栄養に関する表示をする場合にのみ、〈1〉熱量(エネルギー)〈2〉たんぱく質〈3〉脂質〈4〉炭水化物〈5〉ナトリウム――の5項目の含有量をこの順番で表示しなければならないことになっている。逆に、栄養に関する表示をしなければ5項目の表示もする必要はない。
このままでいいのか、消費者庁では、学識経験者や業界関係者の検討会をつくって議論を重ね、原則すべての加工食品で栄養成分表示を義務化することを結論とした。
検討会座長の坂本元子・和洋女子大学長は「バランスのとれた食生活をおくるため、消費者は栄養成分表示を見ることを習慣づけてほしい。手に取った商品に入っている栄養成分が、自分にとって多いのか少ないのか気に留めることが大切」と呼びかける。
検討会では、多量に摂取すると心疾患のリスクを高めるトランス脂肪酸についても、議論していたが、表示義務化の判断は先送りした。日本人の場合、摂取量はそれほど多くないことなどが理由。
トランス脂肪酸、飽和脂肪酸、コレステロール、食物繊維、糖類、ビタミン・ミネラル類などの栄養成分の表示については、消費者庁で引き続き検討する。
米国やカナダ、韓国などでは、トランス脂肪酸含有量の表示を義務付けている。日本でも、食品メーカーや生協が独自にトランス脂肪酸などの情報公開を始めた。
雪印メグミルクや日本生活協同組合連合会も、自社商品のトランス脂肪酸含有量を、ホームページで公表している。
サッポロファインフーズ(東京)は先月、パッケージの表面に、「トランス脂肪酸フリー」と表示したポテトチップス「ポテかるっ」を発売した。油で揚げずに作るなど製造工程の工夫を重ね、トランス脂肪酸の含有量をゼロにしたという。
パッケージの裏側には、栄養成分も表示されており、各種脂肪酸などの総称である「脂質」だけでなく、脂質の一種である「飽和脂肪酸」「トランス脂肪酸」「コレステロール」の含有量も掲載している。同社の担当者は、「栄養成分を積極的に公開していきたい」と話す。
主婦連合会会長の山根香織さんは、「健康にプラスになるものを強調した表示だけでなく、健康にマイナスとなる栄養成分もきちんと表示し、消費者に伝えるようにすることが必要だ」と話す。
トランス脂肪酸 |
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マーガリンやショートニング、これらを原材料に使ったケーキやドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに含まれる。心疾患のリスクを高めるため、世界保健機関(WHO)などの報告書は、トランス脂肪酸の摂取量を、1日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満にするよう求めている。日本人でも、脂肪の多い菓子などを大量に食べる人では、1%を超えているというデータもある。 |
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