文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

日野原重明さん 特別講演

イベント・フォーラム

(3)音楽には癒しの力がある

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 治りにくい病気としては、認知症はなかなか治りにくいと言われています。

 認知症という病気は、物忘れがひどくなります。「あなたのお名前は?」と聞いても、名前が言えない。「ご主人の名前は?」と聞いても、言えないし書けない。こういう極度の物忘れをするのが認知症です。

 認知できない患者を、厚生労働省は「認知症」という病名にしました。夜、よく眠れないのは不眠症といいます。不眠症の患者は睡眠病といいません。それなのに、認知できない人を認知症というのはちょっと名前の付け方がおかしいのではないかと思います。

 外国では、認知症の病気を研究した人の名前をつけて、「アルツハイマー病」といっています。

 アルツハイマー病に効く薬がだんだん開発されてきました。これらも使い方によっては効果があるとは思いますが、私はアルツハイマー病には音楽療法が効果的だと思っています。私は日本音楽療法学会の理事長をしているのですが、音楽を認知症の人に聞かせます。例えば「故郷(ふるさと)」というだれでもよく知っている唱歌があります。「うさぎ追いしかの山、こぶなつりし」と歌うと、自分の名前も言えない、自分の名前も書けない人でも、メロディーが聞こえてくると、そのうちに言葉が浮かんでくることがあります。

 子供の病気に「自閉症」というのがあります。自閉症の患者にも音楽療法士が一緒になって歌ったり楽器を演奏したりすると、内にこもっていた心がだんだん解けてきて、話をするようになったりすることもあります。「どうしてつらいか」ということを音楽療法士と話をするようになれば、音楽療法士はそれをお医者さんや学校の先生や両親に伝えて、どうすればよいかという対策を考えることができます。自閉症には今のところいい薬はないのですが、音楽療法は非常にいいと思います。歌うことによって脳が活性化されるのでしょう。音楽には癒しの力があるのです。

 私は医者ですが、ピアノを弾いたり合唱を指揮したりすることがとても好きです。したがって、医療と音楽を結びつけて、音楽が病気に効果があるということを実証するために、いろいろと症例を集めているところです。(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

イベント・フォーラムの一覧を見る

日野原重明さん 特別講演

最新記事