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(2)高齢者は缶ビール1本

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 高齢者はお酒とどう付きあったらよいのか。

 「缶ビール(350ミリ・リットル)1本までにしましょう」

 国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の松井敏史医師は高齢者の1日の飲酒量について、こう呼びかける。

 厚生労働省によると、成人男性で健康に影響を与えない酒の量(1日)は一般的に、ビール中瓶(500ミリ・リットル)1本程度とされる。

 高齢者が飲酒量を少なくすべきなのは、加齢により酔いやすくなるためだ。

 松井さんは「肝臓の働きが低下したり、体内の水分量が減ったりしていて、血中のアルコール濃度が高くなりやすい」と解説する。

 また、脳はアルコールの影響を受けやすくなっているので、少ない量でもひどく酔ったり、転びやすくなったりする。

 高齢者の飲酒で最も気をつけたいのは、退職後だ。

 現役時代は、周囲が止めるなど、飲み過ぎに歯止めをかけられる。また、翌日が仕事だと、適当に切り上げるきっかけにもなる。しかし、退職すると、それができない。「飲酒の目的が、仕事のストレス解消ではなく、ただの暇つぶしになってしまう」と松井さん。

 同センターが同市に住む高齢者(1万445人)に行った調査によると、男性の63%、女性の19%が週3回以上、お酒を飲んでいた。全体の約15%は肝臓病などお酒に関連した健康問題を抱えていた。

 松井さんは「ゲートボール大会や地域のお祭りなどに参加し、付き合い程度に楽しく飲酒するのが理想。お酒が主役でない飲み方を工夫してほしい」と話す。

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