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いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](14)自分であり続ける信念

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 今日までの認知症に対する考え方として、少なくとも二つの潮流を指摘できます。一つは、一般の人々が「認知症」を認識するようになったこと。もう一つは、人々が「自分のこと」として認知症をとらえるようになってきたことです。

 有吉佐和子さんの小説「恍惚(こうこつ)の人」が出版されたのは1972年。認知症は、数年前までは、「痴呆(ちほう)」という言葉で語られていました。症状がある人々の自宅を訪問すると、座敷ろうのように、家具も何もない部屋に外から鍵をかけて閉じ込められていたり、畳の代わりに敷いたブルーシートの上に、寝かせられたりしていました。

 2000年に介護保険制度が始まり、ケアを行う専門職の人が大勢出てきました。認知症の人の家族や、介護職員らの悩みに大きな関心が寄せられるようになりました。医療分野でも、抗認知症薬が使われるようになり、地域の医師が診療をするようになりました。

 最近になって、認知症を自覚し、悩んでいる人々が、その心の内を自らの声で語るようになってきました。日常の異変に自らが気づき、不安感から受診する人々も増えています。

 今や認知症は、誰もがなる可能性があると言っても過言ではありません。しかし、「そうかもしれない」という不安の闇の中にいる時に、そこに十分な光が差し込んでいるとは言えません。

 診療を通して認知症の方々を見ていると、たとえ記憶を失ったり、周囲の人にとって見当違いな言動が見られるようになったりしても、「自分は自分であり続ける」という信念を、本人、周囲、そして社会が持つことがまず大切だと感じさせられます。「認知症とともにどう生きていくか」が、まさに問われているのです。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

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