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介護・シニア
[認知症と向き合う](13)服薬の意味を生むのは心
アルツハイマー型認知症の治療薬といえば、これまではアリセプト(成分名ドネぺジル塩酸塩)だけでした。それが、今年に入って、レミニール(ガランタミン)、メマリー(メマンチン)という飲み薬と、イクセロンパッチ(リバスチグミン)、リバスタッチパッチ(同)という貼り薬が正式に承認され、一部が発売されました。
レミニール、イクセロン、リバスタッチは軽度及び中等度、メマリーは中等度及び高度、アリセプトは軽度から高度まで使われます。
メマリーは脳への働きかけが他の薬剤とやや異なるので、海外では、併用して服用される場合もあるようです。
選択肢が増えるのは喜ばしいことですが、薬ですので副作用には注意が必要です。服用時に普段と違い食欲がなくなった、ぐったりしている、かぶれるなどの症状があった時は速やかに医師に相談して下さい。
留意していただきたいのは、これらの薬はいずれも認知機能(いわゆる知的な能力)の低下の進行を遅らせるもので、認知症を完全に治す薬ではないという点です。このことを言い換えると、これらの薬を飲むことは結果として、「認知症であるという状態を長くさせる」ことだとも言えます。
この点について、私は次のように考えます。薬は飲む人のためにあります。もし認知症になると絶望しかない世の中であれば、その状態を長く保たせる薬は意味のないものになりかねません。裏返せば、薬に意味をもたらすものは、人々の心の中にあるといえます。
認知症になってもいきいきと暮らせるような世の中が必要です。そうした世の中が実現したとき、薬はその効果を最大限に発揮できるのだと私は思っています。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)
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