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震災に遭った時(2)厚着して「低体温症」防ぐ

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燃料節約のためストーブが消され、寒さが厳しい避難所。体を暖めて「低体温症」に気をつけたい(15日、宮城県南三陸町で)=松本剛撮影

 避難所生活が長引くと、病気になる危険性が高くなる。一般的に知られていないのが、「低体温症」だ。

 寒い場所に長期間いると、体温が奪われて体を維持する機能が失われる。初期には震えや思考力の低下、重症になると錯乱状態に陥り、最悪は死に至る。2005年のパキスタンの地震では、多数の人が低体温症で死亡したとされる。

 なりやすいのはお年寄りや子ども。栄養・水分の不足、疲労などでも起きやすいため、寒くて食糧が不足している今回の被災地では発症する危険性が高い。

 東京医科大渡航者医療センター教授の増山茂さんによると、体の中心部の温度が35度以下になると低体温症とされるが、体表の温度は当てにならない。このため、最も信頼できるサインは「震え」だ。

 震えが始まったら、▽床に敷物を敷く▽厚着をし、帽子やマフラーで頭部も保温する。毛布は1人よりも2、3人でくるまる方が温まる▽しっかり食事と水分をとる――ことが大切だ。

 体が冷たいのに震えが止まったり意識がもうろうとしたりしたら要注意。すぐに病院へ連れて行く。「低体温症は気がつきにくい。ぜひ意識して、予防策をとってほしい」と増山さん。

 感染症も心配だ。1995年1月の阪神大震災の後には、避難所でインフルエンザが流行した。

 避難所では、水分を多めに取るだけでなく、手洗いやうがいもしっかり行う。水が十分にない場合は、ウエットティッシュや、きれいな水で湿らせたティッシュで、手指についた細菌やウイルスをぬぐい落とす。

 せきやくしゃみをする時は、ティッシュやハンカチ、袖などで口と鼻を覆い、周囲の人から顔を背けてうつらないようにする。

 「肺塞栓症」(エコノミークラス症候群)にも気をつけたい。避難所や車の中で長時間、窮屈な姿勢を取り続けると、血流が悪くなって足の静脈に血の塊(血栓)ができる。それが流れて肺の血管に詰まり、呼吸困難などを引き起こす。死に至ることもある。

 新潟大呼吸循環外科助教の榛沢(はんざわ)和彦さんの研究では、2004年の新潟県中越地震で避難所生活や車中泊をしていた10万~30万人のうち、少なくとも11人が発症し、4人が死亡した。

 発症予防の主なポイントは、▽起きている時は定期的に屈伸やふくらはぎのストレッチなどで体を動かす▽できるだけ手足を伸ばして寝る▽車中で寝る時は足元に箱などを置いて足と体を水平にする▽十分に水分補給する――などだ。

 榛沢さんは「体を動かす間隔は4~5時間以内を目安に、なるべくこまめに」と話している。

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