文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

いきいき快適生活

介護・シニア

[読み得 医療&介護]障害者制度で車いす特注

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 車いすなどの福祉用具は、介護が必要になっても、なるべく自立して生活するための手助けになる。要介護者はレンタルを利用するのが一般的。しかし、体に合わないことも多い。条件次第では、障害者施策を使って、自分にぴったりの用具を手に入れる方法もある。(針原陽子、写真も)

医師ら判断、購入費を補助

電動車いすをチェックする大場さん(右)=宮城県東松島市で

 宮城県東松島市に住む女性(59)は、20年以上前から関節リウマチを患っている。身体障害者手帳1級を持ち、要介護2。昨夏、電動車いすをあつらえて、家の中で使うようになった。「家族に負担をかけずに動き回れる。夢のようです」と笑顔を見せる。

 筋力が衰え、歩くのは難しい。以前は、キャスター付きの事務用イスに座ったまま、足で蹴ったり、脇に抱えたつえを使ったりしながら移動していた。しかし、関節がひどく痛むため、なるべく動かないですむように、日中はトイレの近くにいたという。

 これに対し、電動車いすは、手元のレバー1本で自在に移動でき、小回りがきくので、狭いトイレに行くのも容易だ。長く座っていられるように、座面のクッションも体に合わせて作られているのをはじめ、様々な工夫も凝らされている。

身体状況など検討

 車いすなどの福祉用具は、体の不自由な人たちの自立を手助けするとともに、機能を維持するのが目的。主な入手方法は、介護保険でのレンタルか、障害者制度での購入だ。要介護認定を受けている人で、障害者手帳も持っていたら、原則として、介護保険を優先的に使うことになっている。

 ただ、車いすや歩行器、つえに関しては、障害判定に携わる「障害者更生相談所」や医師によって「既製品ではなく個別対応が必要」と判断されれば、障害者制度の利用を優先できる。

 東松島市の女性の事例では、介護保険の担当ケアマネジャーが「県介護研修センター」に相談。作業療法士の大場薫さんがその女性の体の状態や住環境などを検討した結果、「オーダーメードの電動車いすが適当」と判断した。大場さんが車いすの仕様書を作成し、女性がそれを添えて市に申請。判定依頼を受けた更生相談所によって、購入が認められた。

 この車いすの値段は約59万円。障害者制度では購入費の1割を自己負担するが、実際の負担は、所得に応じた上限額の3万7200円で済んだ。介護保険のサービスは使っていない。

 大場さんは「身体介護のヘルパー利用などを勧められがちなケースだが、電動車いすを適切に利用すれば本人の自立度も上がります。結果的に介護費用も抑えられる」と指摘する。

ホーム入所者でも

 特別養護老人ホームの入所者でも、障害者手帳保持などの条件がそろえば、購入費の補助を受けられる。

 横浜市内の特養「みなみの苑」(相沢阿希美(あけみ)施設長)では、市総合リハビリテーションセンターの理学療法士など専門職員に必要に応じて来てもらっている。70歳代の入所者は、足の関節や筋肉がこわばって車いすにうまく座れなかった。センター職員のアドバイスで障害者制度を使って特別な車いすを製作、快適に座れるようになったという。

 要介護者でも、条件次第で障害者制度を使える仕組みは、利用者や家族だけでなく、介護関係者にもあまり知られていない。ケアマネジャーらへの研修で、この仕組みを説明している仙台市障害者更生相談所の理学療法士、後藤美枝さんは「介護保険ができた2000年当時、高齢障害者からの相談は半減しました。その後少しずつ増えてはいるが、潜在的なニーズは大きいはず」と話す。

 福祉用具を活用する制度作りに取り組む「ふつうのくらし研究所」所長で理学療法士の吉川和徳さんは「介護保険の利用者でも、必要な場合は障害者制度を使える。それを本人や家族が知ることが重要です。福祉用具が使いづらいと思ったら最寄りの専門機関を探して相談してみてほしい」と訴えている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

いきいき快適生活の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事