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冒頭発言・一に運動、クスリは最後

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 基調講演に続いて、金さんと、西野医院(同県日立市)院長の西野弘美さんが対談し、運動による健康法や病気予防について意見を交わしました。

 コーディネーターは、田中秀一・読売新聞東京本社医療情報部長が務めました。

 冒頭、西野さんが医師の立場から運動の大切さを詳しく説明し、また、ご自身がどのように運動を生活に取り入れているかについても話しました。

西野医院院長:西野 弘美(にしの・ひろみ)
 1941年日立市生まれ。私立日本三育学院高校卒業後、60年茨城大学教育学部入学。私立高校で3年間教壇に立ち、66年群馬大医学部入学。同大卒業後、国立病院機構水戸医療センター(茨城町)で外科医、久慈茅根病院(日立市)で内科医として勤務。2001年に日立市留町で西野医院を開業。介護支援専門員、NPO法人茨城県ケアマネージャー協会会長、日立市メディカルセンター理事なども務める。心筋梗塞の死亡率が高い茨城県内で、運動や生活習慣の改善による病気予防・治療に取り組む。
 

体と心の健康維持に、運動は不可欠

 西野 運動が体と心の健康維持に不可欠ということを理解することが、運動を始める動機になると思います。

 まず循環器系です。血液の流れをよくすることが、健康にはとても大事ですが、運動することにより血流は最高、100倍にも増加することが実験で確かめられています。

 運動はまた、高血圧を正常化し、心機能を高めます。今はよく狭心症とか心筋梗塞の治療で、狭くなった心臓の血管にステント(金網状の筒)を入れる方法が行われておりますが、ステントよりも運動のほうが、その後の状態がいいと言われています。

 脂質については、悪玉コレステロールや中性脂肪を燃焼し、また善玉コレステロールを増やしてくれます。血液はさらさらとなって、寝たきり原因第1位の脳卒中や、死因第2位の心臓病の予防になります。

 代謝系では、運動はブドウ糖の代謝を改善し、糖尿病の予防となります。運動は糖尿病にかかってしまった人の最も大事な治療法となります。

 呼吸器系では、運動は肺活量を増やし、肺機能を高め、階段の上り下りや、ジョギングも楽にできるようになります。

 筋肉や骨格に対しては、運動で筋肉量が増え、脂肪は少なくなります。肩凝り、腰痛、骨粗しょう症や、腰や背が曲がること、骨折の予防となります。ちなみに寝たきり老人の4分の1は骨折によると言われています。

 脳神経系では、脳の血流がよくなり、脳卒中、寝たきりの予防となります。認知症の予防効果も実験で確かめられています。

 運動することでホルモンのバランスが整い、若さを保つのに最もすぐれた方法として認められています。

 消化器系では、運動後の食事は大変においしく、胃腸のぜん動運動も促進され、便秘の予防となります。

 運動は免疫機能を改善するので、始めた人は風邪を引きにくくなるのを体感できます。これは割合と簡単に体感できます。

 生活の質では、運動をすると快活となり、やる気も出てきて、快適な生活を送ることができます。気分もよくなり、意欲も増します。ストレスを解消し、うつ病の予防だけでなく、また治療法としても効果が認められております。

健康長寿に運動は有益

 最後に健康長寿。ただ長生きしたいという人は最近少なくなったと思いますね。元気で健康で、長生きしたいという方が今は多いように思います。運動の効果は、最後まで健康的な生活を送るのに有益です。

 ここまでお話ししたように、運動の効果は絶大です。これほどの効果のある薬はほかにありません。お金は一銭もかからないんです。

 ただ一つだけ、いいことばかりでなくて、一つだけ悪いことがあります。それは、靴が減ると言うことなんですね。(笑)

 実は私も病気がありまして、背骨の病気が原因で、腰が痛くて大変悩みました。いろいろやっても、だめだったので、40歳頃から、腕立て伏せを始めました。1日1回ずつ増やして、3年間たってみましたら、1000回やっていたんですね。この1000回を20年近く続けました。

 2001年に日立市に、西野医院を開いた頃に、ちょっとストップしちゃったんですが、去年の12月から、また始めました。朝起きたらまず腕立て伏せ。そして2回増やして夜やる。次の朝も2回増やしてやる。そうすると1日4回ずつ増えますが、けさは305回、腕立て伏せをやってきました。この腕立て伏せをやった後は、ほんとうに気分がいいですね。

 気分がいいのは、脳の中に麻薬と同じようなエンドルフィンという物質が出てくるからなんですね。このエンドルフィンは麻薬と違いまして、非常に体にもいい、血液の流れもよくしてくれます。そしてほんとうに気分爽快ですね。ちょっとしたことにはくよくよしなくなります。この脳内麻薬をぜひ皆様にも味わっていただけたらと思います。

自分なりの計画を立てて、5日間試す

 運動を始めるには、実際に試してみることが大切です。自分なりの計画を立てて、まず5日間試してみますと、体調のよくなったのに気づくはずです。風邪も、割合と短い期間、運動するだけで引きにくくなってまいります。それから腰痛、肩凝りも軽減するのを体験できると思います。

 私は、夜中の11時半ぐらいから10キロマラソンをしております。これが、ちょっときょうは寒いからと思ってしないと、次の日、ああ、やっておいたらよかったなと後悔します。何日かしないでいて、この間はちょっと風邪を引いてしまいました。寒い中を走っている間は風邪を引かない。私はそのように思っております。

 私の人生の最後に振り返って、やっておいてよかったと思えるものに、この運動が挙げられると思います。人生を変える運動ですね。皆さんも、ぜひ挑戦してはいかがでしょうか。茨城県医師会では、「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」と患者さんに勧めています。

 最近、非常に私が危惧しておりますのは、毎年、剣岳とか奥穂高岳とかに登っておりますが、若い人がほとんどいないことです。スキー場もがらがらで、スキーをする若者も減りました。

 若い人たちが体を動かさなくなってしまったんですね。ぜひ、もっと動いて、体を使って、生活を楽しんでもらいたいと思います。(続く)

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