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基調講演(2)体幹を使うメリット

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 体幹を使うことが、なぜいいか。どんなメリットがあるのでしょう。

 体幹には、大きな筋肉があります。その大きな筋肉をちゃんと使うことで、基礎代謝――何もせずじっとしていても、生命活動を維持するために体内で消費されるエネルギーのことですが、この基礎代謝が上がってきます。無理することなく、ダイエット効果も高まり、そんなに運動しなくても太らない体になります。また、筋力強化と有酸素運動によって、心肺機能も向上します。

 もう一つ非常に大事なポイントがありますが、見た目が格好よくなるんですね。体幹を意識して、すっと立つだけで、姿勢がよく、格好よくみえるようになります。

肩甲骨、骨盤、丹田の使い方がポイント

 次は、体幹を使う実践法です。三つのポイントがあります。肩甲骨と、骨盤と、東洋医学で全身の気が集まるとされる丹田(たんでん)――この3か所をどう使うかです。

 最初に肩甲骨からいきます。座ったままでいいので、肘を後ろにぐるぐる回していただけますか。肘を後ろにぐるぐる、ぐるっと。肘を後ろに大きく回すと、肩甲骨も動きます。これが非常に大事なところです。肩甲骨がなめらかに動くよう、その周辺の柔軟性を保つことが大事なんです。

 極端な猫背の人というのは、肩甲骨をほとんど動かしていないんですね。猫背の人は特に気をつけて、背中をぎゅーっと動かすようにしてください。スポーツ選手では、肩甲骨がちゃんと動かせるということは、ものすごく重要なことで、これは人間の体の大事なポイントだからなんです。

 背骨は横から見るとS字の形に湾曲しているのですが、肩甲骨を動かせなくなっていたり、その周りが硬くなっていったりすると、その背骨のS字湾曲が保てなくなるんです。保てなくなると、背中、胸、腰にある非常に大きくて大事な筋肉がうまく使えなくなるのです。

 

 次は骨盤の柔軟性を保つことです。腰が痛くなる人というのは、大体骨盤の柔軟性が悪くなっています。この周辺の筋肉が硬くなっています。

 猫背の人は、骨盤が後ろに倒れてしまっています。骨盤を真っすぐ立てるか、あるいはちょっと前に傾けるぐらいの感じにすると、腰痛の予防にもなりますし、体幹をうまく使うということにつながっていきます。

 次は、上半身と連動して、骨盤を動かします。皆さん、今日は座っていらっしゃるので、実践しづらいんですけれども、肩甲骨が動かせると、骨盤は自然に動きます。歩くときに腕を動かしますね。その時、腕を後ろにぎゅっと、大きく肩甲骨ごと動かしてください。そうすると、同じ側の骨盤が前にぐっと出ていきます。脚が骨盤から前に出るのでしっかりと踏ん張ることができ、転倒防止にもなります。

 このように、上半身と骨盤を連動させながら、体の大きな筋肉で歩くというのが、体幹を使うという考え方の重要な部分です。

 骨盤の中にある大腰筋という筋肉は、脚を前に持ってくる筋肉なんですね。年をとって転倒して、骨折して寝たきりになるという話がよくあるんですけど、それを防ぐためにもここをちゃんと使っておくことは大事です。

ボルトの速さの秘密は、発達した大腰筋

 ちなみに、北京五輪百メートルの金メダリスト、ウサイン・ボルト選手は、この大腰筋がものすごく太いんです。異様に発達している。それが速さの秘密だと言われています。

 最後に丹田です。まず位置を確認しましょう。へその下、指三本分ぐらいおいた、その下の一点です。ここは人間が二本足で立ったときの重心です。東洋医学で言うと、気を生み出す場所でもあるんですけど、非常に大事なポイントなんですね。ちゃんと立ったときに、この丹田を重心として意識できるようにすることがまず第1のポイントです。それに伴って、丹田の周りの腹筋にも、ちゃんと力が入るようになります。

 次は、理屈を聞いているだけではちょっとわかりづらいと思うんですけれども、歩くときに、着地した足の上に、この丹田がちゃんと乗っかるのがいいんですね。よくある猫背の方の歩き方は、足だけ先に出て、体の重心である丹田がついていっていません。だから、歩けば歩くほど、膝と腰に負担がかかってしまいます。

 人間の体は横から見ると、背骨がS字湾曲しています、正しい背骨はS字をしていて、これ自体がばねになるわけです。そのばねの周りに、重要な、大きな筋肉がついていますから、そこを使うか使わないかということです。

 体幹を使わないで歩いている人にとって、体幹部分は単なるおもりです。それを全部足で支えていますから、つらいですよね。重いですね。体幹を使って歩く人は、体幹の大きな筋肉を、おもりではなくて、エンジンとして使います。これが体幹理論です。これは立っているときもそうですし、歩いているときも、ジョギングしているときも全部同じです。(続く)

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