大腸が黒く変色…大黄・センナ便秘薬が原因か?
20年くらい前から便秘症です。2年ほど前から、大黄やセンナなどが入った漢方の便秘薬の服用を始めました。先日、大腸内視鏡の検査をしたら「全体的に黒っぽく着色していて、大腸の機能が低下している。大黄・センナなど漢方系の便秘薬のせいなので、他の系統の薬に変えた方がいい」と言われました。機能が低下している、というのは、どういうことなのでしょうか。このまま飲み続けたら、どうなるのでしょうか。私としては、今の薬が合っているので、あまり変えたくないのですが。(42歳女性)
酸化マグネシウムなど、徐々にほかの下剤を使って
センナ、大黄、アロエなど、「アントラキノン」という成分を含む便秘薬・下剤(アントラキノン系下剤)を長期に渡って服用していると、大腸の表面の粘膜が淡褐色~黒褐色に変色することが知られています。この状態を「大腸黒皮症(大腸メラノーシス)」と言います。
特に自覚症状はなく、大腸内視鏡検査を受けないと、その存在の有無がわかりません。アントラキノン系下剤は、日本で使用されている下剤の約70%を占め、漢方の下剤にも、含有量は異なりますが、大黄などが含まれていることが多いです。
大腸メラノーシスでは、大腸粘膜内にとどまらず、腸管内の神経にも変化が起き、便秘状態をさらに憎悪させることが指摘されています。アントラキノン系下剤を長期に使うと、下剤の効果が徐々に低下してくるのは、このためと考えられます。
つまり、アントラキノン系下剤を長期に服用すると、次第に、その服用量が増加し、しかも、急に薬を中止したりすると、排便が困難になってしまう可能性があるのです。ですから、急にアントラキノン系下剤を中止しないで、酸化マグネシウムや化学合成系の下剤(例えば、ラキソベロン)などを使用しながら、アントラキノン系下剤の減量または中止へと進めていくとよいと考えられます。ただし、これもなかなか困難なこともあるので、医師の指示のもとで行って下さい。