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緩和医療医・大津秀一さんインタビュー全文(2)「死ぬときに後悔する」25項目

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 ――「死ぬときに後悔すること25」を書いたきっかけは何だったのですか。

 大津 がんの末期など重い病気の時、残りの時間を知らずに過ごす人が少なくない。がんは、余命が2か月くらいになると急に状態が悪くなり、放物線のようにすとんと落ちます。やりたいと思っていたことをする時間や体力がなくなり、「あれをやっておけばよかった」と後悔することがとても多いのです。

 亡くなる前に「先生、生きているだけでも幸せなんだ。もっとやるべきことをちゃんとやらないといけない。残り時間を大事に過ごすことの大切さを社会に伝えてほしい」と言います。そういう声を伝えなくてはいけないと思いました。

 ――自分のことだけでなく、残される人のことを考えるわけですね。

 大津 それが人間のすごいところですね。苦痛が強いと、早く楽にして欲しいと思ってしまうが、緩和医療で苦痛がとれれば、家族のことを考える。ほかの患者の世話をする人もいます。

 ――「もう思い残すことはない」と言って亡くなる人はいますか。

 大津 全く後悔がないという人は少ないです。だいたいの人は、大なり小なり後悔はあるし、それは普通のことだと思います。

 ――「後悔はない」という方に共通することはありますか。

 大津 性別も生い立ちもさまざまですが、生きること、死ぬことをすごく考えてきた、ということは言えます。だいぶ前から「死は不幸ではなく、その時が来たら迎え入れるもの」という心の準備があったのではないでしょうか。穏やかに生きてきた人もいるし、浮き沈みの激しい波乱万丈の人生の人もいて、端から見た幸福や不幸には、あまり関係ないように思います。

 ――元気な時に、人生や死について考えるのは、なかなか難しいかもしれません。がんになると、治すことが最大の目標になって、死ぬことは考えてはいけないような状況があるように思います。

 大津 本人が「もうだめかな」などと言おうものなら、周囲から「何言ってるの、頑張らなきゃだめじゃない!」と言われたりします。弱気になったら負け、死や最期について考えてはいけない、という雰囲気があります。死をタブー視して逃げたくなるのですが、逃げれば逃げるほど追いかけてくる。終末期の患者に抗がん剤を使うと、副作用で衰弱が早まってむしろ命を縮めるとか、「生きたい」と思ってやることが、苦しみを増すこともあります。

 逆に、あるところで治療をやめた人が、かえって元気で長生きすることもあります。余命1か月くらいと思われたところから、無治療で1年くらい生きた方が3、4人います。そういう方たちは楽天的で、がんのことなど忘れたかのように過ごしていました。体に、がんという異物があって、それと全力で闘うとイメージすることは、体を損ねるかもしれない。戦闘状態はストレスになります。

 ――患者が「もうだめかな」と言った時、周囲の人はどう接したらいいでしょう。
本人が何を望んでいるか、しっかり理解して、それをそのまま受け止めてあげることが大事なのではないでしょうか。(続く)

死ぬときに後悔すること25
1 健康を大切にしなかったこと
2 たばこを止めなかったこと
3 生前の意思を示さなかったこと
4 治療の意味を見失ってしまったこと
5 自分のやりたいことをやらなかったこと
6 夢をかなえられなかったこと
7 悪事に手を染めたこと
8 感情に振り回された一生を過ごしたこと
9 他人に優しくしなかったこと
10 自分が一番と信じて疑わなかったこと
11 遺産をどうするかを決めなかったこと
12 自分の葬儀を考えなかったこと
13 故郷に帰らなかったこと
14 美味(おい)しいものを食べておかなかったこと
15 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
16 行きたい場所に旅行しなかったこと
17 会いたい人に会っておかなかったこと
18 記憶に残る恋愛をしなかったこと
19 結婚をしなかったこと
20 子供を育てなかったこと
21 子供を結婚させなかったこと
22 自分の生きた証しを残さなかったこと
23 生と死の問題を乗り越えられなかったこと
24 神仏の教えを知らなかったこと
25 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
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