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はつらつ健康指南

健康・ダイエット・エクササイズ

漢方最前線(1)ずばり的中、ツボ診断

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 漢方――日本に根付いた中国伝統医療だ。明治以来主流からはずれていたが、1980年代から漢方薬を使う医師たちが増え始めた。

 根強かった医学界の反発も和らぎ、現在、漢方は医療現場に広く普及している。その最前線を訪ねる。

漢方ドックでは体のツボで電流を測定する。吉川さん(右)の診断を受ける小出記者(東京女子医大・東洋医学研究所で)=安斎晃撮影

 7か月待ちという人気の医療ドックがある。東京女子医大・東洋医学研究所(東京・北区)の「漢方養生ドック」。通常の臨床検査と同時に漢方的な体質診断を行い、食事、運動、節制など日常生活の養生法を伝えるという。

 「この電極を左手で握ってください」。手渡された金属棒を握ると、針灸師(しんきゅうし)吉川信(きっかわまこと)さん(48)はもう一つの電極を記者の左右の手や足のツボに当て、体の電気抵抗を読み取ってゆく。そして良導絡(りょうどうらく)という針灸診断結果がプリントされた。

 「筋肉のこりや痛み、目の疲労がありませんか」。こころの余裕がない、手足が冷えやすいなど、体質がずばりと診断された。

 2年前に始まった漢方ドック、針灸以外にも、同研究所長の佐藤弘教授(63)らが受診者の手首に指先を当てて脈の拍動の様子を調べたり、痛みはないか、夜は良く眠れるかなど、会話をしながら「漢方データ」を集めてゆく。

 「漢方医学には病気になる前の段階、未病(みびょう)を診断する方法があり、未病を治して長生きにつなげる養生法があります。これは数値化できるようなものではありませんが、1人ずつ体質に合わせたアドバイスができるのです」という。

 それは、西欧近代医学とは全く違う診断体系だ。

 「気」「血」が全身をバランスよくめぐることで健康が支えられる、という身体論に基づいて、体が健康状態からどのくらい、どの方向にズレているのかを診る。漢方薬もこれに基づいて処方される。

 その漢方医学は明治以降、政府の西洋医学一本化政策で臨床医療現場からはほとんど姿を消していた。

 ところが80年代、臨床現場で漢方医療に取り組む医師たちを取材して驚いた。患者の身体に丁寧に触れ、患者の訴えに真剣に耳を傾ける医師の姿があったのだ。「漢方では、脈に触れたり、訴えを聞かないと診断できないのです」(佐藤教授)

 臨床検査データに頼り、患者には触れない医師、患者の顔もきちんと見ない医師が増えている傾向とは、正反対だったのだ。現代の患者の多くが求めているのは、身近なまなざしで心身の健康を見守ってくれるこうした医療ではないのか。

 果たして漢方への蔑視、批判は次第に減り、漢方薬を使用する医師は増え続けた。最近の臨床医を対象とする実態調査では、80%以上の医師が「漢方薬を使用する」と回答。漢方診療機関は全国に広がっている。(編集委員 小出重幸)

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