ヨミドクター1周年記念 大腸がんフォーラム
イベント・フォーラム
パネルディスカッション(2) リンパ節転移があれば補助化学療法
――手術後に再発を防ぐために抗がん剤を使う「術後補助化学療法」は、どのような場合に行いますか。
室 リンパ節転移の有無、がんがどのくらいの深さまで進行しているか、などを総合的に判断して決めます。通常、リンパ節転移があれば、補助化学療法を行った方がよいとされます。
ただし、リンパ節転移がなくても、腸閉塞などが起きて緊急手術を行った場合などでは、万全な手術ができていない可能性があるために行う場合があります。
――最近、分子標的治療薬と呼ばれる薬が登場しました。
室 がん細胞にある特定のたんぱくなどを狙い撃ちにして、がんをやっつけようという薬です。一般的な抗がん剤より副作用が少ないと言われますが、正確に言うと、副作用の種類が違うのです。
抗がん剤では、脱毛、白血球の減少、吐き気などが主なものです。一方、分子標的治療薬では、皮膚に発疹が出たり、出血しやすくなったり、血圧が上がったりします。
押阪 私の知人も大腸がんになり、抗がん剤治療を受けているのですが、味がしなくなったと話していました。そのような副作用もあるのですか。
室 あります。抗がん剤治療によるダメージが、頭皮細胞に起きれば脱毛、腸の粘膜なら下痢、そして味を感じる舌の味蕾(みらい)細胞なら味覚低下が現れます。
――副作用を抑える対策は進歩していますか。
室 はい。有効性が高い吐き気止めの薬が登場しました。口内炎、下痢、白血球の減少などの副作用に対する薬も開発されています。これらの薬を使い、できるだけ副作用を減らして、治療を乗り切ってもらいたいと思います。(続く)
【関連記事】