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いきいき快適生活

介護・シニア

[私のあんしん提言]介護できる「ケアメン」に

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津止 正敏さん(「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長)

 100万人を超えた男性介護者への支援について、全国組織の運営に携わる津止正敏さんに聞いた。(聞き手・猪熊律子)

1953年生まれ。京都市社会福祉協議会に20年勤務後、立命館大教授。専門は地域福祉論。共著に「男性介護者白書」など。

 ――この問題にかかわるようになったきっかけは。

 「京都市社会福祉協議会に勤めていた時、男性介護者の話を聞く機会があり、これが面白かった。離職して妻の介護を始めたが、何がしんどいかといえば、下の世話 1953年生まれ。京都市社会福祉協議会に20年勤務後、立命館大教授。専門は地域福祉論。共著に「男性介護者白書」など。でも家事でもない。買い物だという。奥さん方に交じってレジに並ぶのが恥ずかしいし、妻の下着を買うのは難題だと。1995年当時は女性介護者が圧倒的に多かったが、男性の登場により、新しい介護環境が必要になると感じた。ちょうど故郷の母親が老人性うつ病になり、自分の問題として考えざるを得なかった面もある。男女が共に介護を担う時代の幕開けと前向きに捉えたが、大学に移り、2003年頃、学生と実態調査をして驚いた」

 ――どんな実態か。

 「8割以上が70歳代以上で、大半が夫婦2人暮らし。孤立し、子どももあてにできない。男性たちは一生懸命でも、家事や介護のスキルがない。想定外の介護者による想定外のケアの実態だ。06年に京都市内で、当時86歳の母親の命を54歳の息子が奪う事件が起き、これは人ごとじゃないという共通認識が広まった」

 ――事務局長を務める「ネットワーク」について。

 「09年に設立した。会員の体験記を読んで印象的だったのは、介護には喜びや生きがいもあるという指摘。仕事一筋の時には見えなかった家族間の思いやりやコミュニケーションが、生活に彩りを添えている。介護はつらくて嫌なもの、排除したいものとされてきたが、ケアを組み込んだ生き方や働き方のほうが、実は、人生を豊かにできるのではないか。無論、押し付けは論外だが。育児を積極的にこなす男性が『イクメン』と呼ばれるようになった。育児と介護はだいぶ違うが、あえて『ケアメン』を提唱し、介護も仕事も生活も楽しめるような社会、地域づくりを提案したい」

 ――介護保険の評価は。

 「要介護当事者の自立をうたい、外部サービスを充実させた点は評価できる。食事、排せつ、入浴、移動の在宅ケアは本当に良くなった。しかし、10年がたち、それだけでは問題は解決しないことがわかった。家族が健康で働けないと、暮らしの安心は得られない。施設を利用する介護者も含め、包括的な援助が必要だ」

 ――どうしたらよいか。

 「専門職による相談や情報提供などを行う介護者支援センターを各地に作るべきだ。『スピーカーズ・バンク』を設け、企業や学校などで介護体験を話してもらう試みもいい。介護休業中の所得保障の充実も求められる」

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