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いきいき快適生活

介護・シニア

[ご用心! 高齢者](4)被害阻止、見守る「顔なじみ」

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介護事業者、民生委員に期待

 東京都足立区の集合住宅。この一室で一人暮らしをしている女性(78)に、居宅介護支援事業者「わかばケアセンター」(東京)の大谷田営業所長でケアマネジャーの浅野玲治さんが優しく声を掛けた。

 「元気そうですね」「いいえ。頭が働かないと感じる日もあり、知らない人が『寄付して』と来ると、相手をしてしまいそうになります」

 浅野さんは、女性のケアプランを作成して7年。雑談していると、消費者トラブルになりかねない出来事が女性の周りにあることがわかる。

 足立区消費者センターでは、区内約230の介護事業者などに、チラシを送付したり出前講座を開いたりして、高齢者の被害の前兆の見つけ方を紹介。浄水器や押し入れのすのこなど、今までなかった商品や見慣れない請求書が家にある、トラブルの事例を話題にしたとき表情を曇らせる――などだ。「周囲が気づかない被害は相当あるはず。介護事業者が被害を見つけてくれたら」と消費者センターの担当者は期待する。

 わかばケアセンターでは、介護ヘルパーやケアマネジャーが定期的に集まって消費者被害の勉強会を開いている。介護サービスを受けている女性が「この前、親切なお兄さんが来てね」と話すのを聞いて、預金通帳をだまし取られたのに気づいたこともある。消費者センターに連絡、容疑者逮捕につなげた。浅野さんは「高齢者の生活を守ることも介護事業者の務めだ」と強調する。

 高齢者の消費者被害を防ぐにはよく接する人たちの見守りが欠かせない。三重県伊賀市では訪問看護師や農協職員、銀行員などが「いが悪徳バスターズ」を結成。消費者問題についての研修を受け、異変に気づいたら、消費者センターに通報する。

 東京都世田谷区の民生委員、浅見豊美さん(62)は消費生活コンサルタントなどの資格を持っている。高齢者サークルに仲間と出向いて雑談し、高価な健康食品を売りつける催眠商法の拠点が地域にできたことなどに気づいた。「介護サービスを受けていない高齢者は地域で見守ることが必要。民生委員が悪質商法対策を学べば被害防止につながる」と話す。

 消費者庁は昨年、自治体などを対象に冊子「高齢者の消費者トラブル 『見守りガイドブック』」を発行。「見慣れない人物が出入りしている」「お金に困っている様子が見られる」などの事例別に対応を紹介したものだ。記載内容は消費者庁のホームページで見ることができる。

 消費者被害対策の啓発に詳しい消費者庁参事官の加藤さゆりさんは「消費者被害を防ぐには、高齢者に接する様々な人たちの『横のつながり』が大切。同時に、元気な高齢者はどんどん知識をつけ、被害に遭わない豊かな人生を送ってほしい」と話す。

 高齢者を狙う悪質商法や詐欺が多様になる中、「ご用心」と声を掛け合う社会にしたい。(岡安大地)(おわり)

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