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意見交換(4)再発の不安に向き合う

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 田中 乳がんになられた方は、最初の治療がうまくいっても、やはりどうしても再発とか転移の不安というものがあるのではないかと思うんです。まず内田さんに伺いたいのは、普通、再発するとなかなか治療がないというがんが多いと思うんですが、乳がんの場合は再発してもいろいろな治療法があるというふうに聞きます。どういった対処の方法があるのでしょうか。

 内田 乳がんの場合は、再発してもそんなに焦る必要はないですね。乳がんは一般的にはほかのがんと比べるとゆっくり発育するがんなので、落ち着いて治療法を検討すべきです。主治医以外の治療法についても話を聞くセカンドオピニオンも参考になります。

 乳がんは再発しても、70%はホルモン治療の効果を期待できるわけですから、ホルモン治療が効く人はホルモン治療を、効かない30%は抗がん剤治療を選択することになります。

 増殖に必要な情報を外部から細胞に取り込む役目を果たす「HER2(ハーツー)受容体(HER2たんぱく)」陽性の人はハーセプチンを加えた治療ということになります。

 でも、肺に水がたまったり、あるいは肝臓に転移を起こしたり、命に差し迫った状況の時はホルモン治療が使える患者さんでも抗がん剤治療を選択することになります。

 抗がん剤もホルモン剤も最近はいろいろな種類が開発されていますので、手をかえ品をかえして、治療を続けることができます。途中で、リンパ節や骨への放射線治療が有効な時もあります。

 田中 最初の治療の後に定期的な検査をするのは再発を見つけるためだと思うのですが、再発を早く見つけたら、いい結果が得られるのでしょうか。

 内田 残念ながら、現時点では再発が早く発見できたから、その後の経過もいいとはいえません。乳がんは骨に転移を起こしやすいので、骨シンチという検査があります。かつてアメリカで、手術後にこの骨シンチ検査やCT検査、あるいは腫瘍マーカーを測る検査が、どれだけ有効性があるかが調べられました。それによると、手術後、このような検査を定期的にやって再発を早く見つけても、あるいは検査をせずに、たまたま、転移が見つかった患者さんでも、再発後の生存率には変わりがなかったという結果でした。

 ただ、患者さんの中には、安心のためにどうしても手術後に検査をやりたいと希望する患者さんがいて、私の場合、そういう患者さんには、定期検査をしています。将来、治療法の進歩によって再発の早期発見が治癒率の向上につながる時代がくると思います。

再発してもいろいろな対処法ある

 田中 ちょっと会場の皆さんの表情も深刻になってしまった気がするんですけれども、再発してもいろいろな対処法があるので、最初の治療を受けたら、いったんは、がんのことを忘れて、もし何かあったらまたそのとき考える、そういうことでよろしいのでしょうか。

 内田 そうですね、はい。

 高橋 そうですか。でも、やはり再発の不安というのは常にあると思いますし、ほんとうに再発してしまった場合、その不安とどう向き合っていくかということがとっても重要になってくるんじゃないかと思います。そのあたり、楢山さん、いかがですか。

 楢山 今のところ、再発も転移もないので、のんびりとしておりますけれども、アイリスの会の会員の方で、現在、化学療法を始めた方がいるんです。やはり再発はとても不安です。これからも自分がどうなるのかわかりませんけれども、同じ患者同士でいろいろな情報を得て、そして早期発見に努めて、落ち着いた生活を送りたいと思っております。再発したら、そのときは同じ病気の人たちとお話しして、精神的に落ち着きたいと思っています。

 高橋 やはり周りの方たち、お仲間とか家族とか、そういう周りの方たちのサポートというんでしょうか、その関わりというのもとても重要な気がいたしますね。

 楢山 ええ。私の場合は、特に、一人で今、生活していますので、友人、知人、それからアイリスの会の方たちのお友達がとても大切なんです。相談できるお友達は貴重な私の財産です。

周囲は患者にどう接したらよいのか?…高橋さん

 

 高橋 内田先生、家族あるいは周りの方たちは、患者さんにどのように接していったらいいのか、教えていただけますか。

 内田 友達とか、家族の支えというのは、再発した時に非常に重要な役割を持ちますね。誰でもかなり精神的に落ち込んでしまいます。話を聞いてくれるお友達や家族がいるということは非常に心強いことだと思います。

 田中 楢山さん、やっぱり再発の不安というのはとても大きいと思いますが、そういうときに前向きに考えるコツといいますか、考え方といいますか、そういうものがあったらぜひ伺いたいと思います。

 楢山 難しいんですけれども、私は、特に乳がんで死ぬかもしれないという恐怖と不安をずっと持ち続けた身としましては、再発になったらほんとうにどうなるのか。でも、再発しても皆さんとても明るく、今を大事に生きたいということで前向きになっている方がたくさんおられます。だから、その人たちにならい、私も再発しても頑張っていきたいと思います。

病院選びの判断材料は?

 田中 最後のテーマとして、実際に治療を受けることになったときに、どうやって病院を選んだらいいかということについてお話を聞きたいと思います。病院を選ぶための判断の材料を教えていただけますか。

 内田 今はインターネットで調べるのが便利です。もう一つはセカンドオピニオンですね。その病院の一人のドクターだけじゃなくて、ほかの治療がないかどうか、別の医師に聞くことも参考になると思います。でも、注意していただきたいのは、ドクター・ショッピングと言われるように、いろいろなドクターの話を聞いて、かえって決断できなくなってしまう患者さんもいます。セカンドオピニオンも一回ぐらいで、いいのではないでしょうか。 それと、日本乳癌学会のホームページを見ていただくと、乳腺の専門医が載っています。専門医がいる病院では標準的な治療ができると思います。

 田中 いろいろな心理的なことを含めたサポートという点で、患者会があると思います。患者会の情報とか、助けというのはどういうふうに利用していったらいいのでしょう。

 楢山 私が最初、アイリスの会に入会したときは、自分が生きていけるか、それとも即死ぬのか全くわからなかったんです。ほんとうにわらにもすがる思いでした。アイリスの会に入ったときは、前から知り合っているみたいにすぐ話しかけてくれたものですから、ほっといたしました。

 今、インターネットとか何とかたくさんあるんですが、私はちょっと年齢的にそういうことはまだ勉強もしていないからわからないので、あくまで仲間の皆さんの口から聞くことだけなんです。ですから、皆さんとお友達になることが最高の予防法かと思っております。

 田中 どうもありがとうございます。(続く)

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