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意見交換(3)2種ある乳房再建法

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 田中 全摘の手術を受けた後に、乳房再建手術が行われるようになってきたということですが、楢山さん、この手術を受けようと思った最大の理由は何だったのでしょうか。

再建で体のバランス取りたかった…楢山さん

 楢山 一番は、首こり、肩こり、そしてそれに伴っての片頭痛です。もう慢性的にありまして、あらゆるマッサージなんかもやってみたんですが、効果がありません。そしてお風呂上がりに自分の体を見ると、やっぱりどっちかの肩が上がっているんですね。そのころから両方に乳房があったら体のバランスがとれるのかな、再建してみたいなというふうに考えておりました。で、たまたまお医者さんの講演を聞いて決意しました。

 田中 実際に手術を受けられて、どうですか。何が変わりましたか。

 楢山 ちょうど9月1日(2010年)に手術いたしまして、きょうで80日目ですから、いいとか悪いとか、まだ言える状態じゃないんですけれども、一応、体のバランスはとれたかなと思っております。ただ、首こり、肩こり、片頭痛が治るまでには、まだちょっと時間はかかると思います。私自身はプラス思考で、きっとよくなる、きっと元の体に戻れると、感じております。

 田中 再建手術には自分の組織を移植する方法と、シリコーンなどを埋める方法があるというお話だったんですけど、楢山さんはどの方法を使われたんですか。

 楢山 自分のおなかの脂肪、肉、皮膚を使いました。1年ほど前にアイリスの会の会員の方が手術を受けまして、その人の情報をもとに、シリコーンじゃなくて、自分の組織でやろうというふうに決めました。形成外科医の先生とも2回ほど相談して、やはり腹筋を使ったほうがいいんじゃないかということで決めました。

 田中 さっき内田さんは、おなかのお肉が取れて喜ぶ人もいるというようなお話だったんですが、いかがですか。

 楢山 はい。おかげさまでおなかの膨らみは全くございません。これをこれから何年も維持することを心がけて、おばさんスタイルにならないように。まあ、今はおばさんなんですけれども、おなかというか腰回りだけはおばさんにならないように気をつけていきたいと思っています。

 田中 手術で大分若返った感じですか。

 楢山 はい。おしゃれが楽しくなりました。お世辞も含めまして、デパートとかで売り子さんに「随分スタイルがいいね」って言われると、ルンルン気分になります。傷は見えませんので。

 田中 すばらしいですね。内田さん、再建の手術法は二つあるということですけれども、どういうふうに選んだらいいのでしょうか。

 内田 うちの病院では、形成外科の先生が再建を担当しています。自家組織とシリコーンインプラントと、先ほど言ったようにそれぞれメリット、デメリットがあります。担当医とよく相談して、自分で納得をして手術を受けたらいいと思います。

 自家組織には小さいお乳の人だと広背筋といって、背中のお肉と脂肪と皮膚を前に移植する、おなかよりは簡単な手術方法もあります。でも、大きなお乳の再建だと腹直筋を、25センチから30センチぐらい切開して移植をしないといけないということもあります。それぞれ長所、短所がありますので、手術をする先生とよく相談して、納得をして受けたらいいと思います。再建手術をしたから再発のリスクが高まるとか、そういうことはありません。

 高橋 そういうことはないわけですか。そのあたり、とても心配に思われている方、結構いらっしゃるんじゃないかと思うんです。

 内田 再建をしてもしなくても、再発する方は再発するわけで、再建が悪影響を与えたということはないと思います。

 田中 最近の乳がん治療の進歩について伺いますが、抗がん剤の治療はどのように進歩しているのでしょうか。

抗がん剤、術前投与も普及…内田さん

 内田 以前に比べて抗がん剤を使う患者さんが増えましたね。抗がん剤の治療効果が高まったことが背景にあります。また最近では、術前化学療法といって、手術前に抗がん剤を投与する手法も普及しています。手術の前に抗がん剤治療を行うと、例えば、4センチの腫瘤が8割ぐらいの人で半分以下になってしまう。すると全摘手術しか選択肢がなかった人が、温存治療も選択できるようになるのです。

 田中 抗がん剤というと、やはり副作用がつきものだというイメージがあります。実際それはどのぐらい起きるのでしょう。副作用の対策については、最近、何か進歩があるのでしょうか。

 内田 抗がん剤治療を行うと、ほぼ100%の人は脱毛してしまいますね。それから、口内炎が起こったり、爪の変形、足や手のしびれが起こったりします。抗がん剤によって白血球が下がって38度以上の熱が出るということが起きます。最近は、これに対して新しい吐き気止めの薬が開発され、また白血球を増やす注射など副作用対策が進歩しています。

 田中 楢山さんも薬物治療は受けられたわけですね。

 

 楢山 薬を飲み始めて3日目あたりから体がだるくなりまして、検査をしましたら、肝臓の機能が著しく低下したということで、ホルモン剤だけを飲むことにしました。

 田中 ホルモン剤の副作用はいかがでしたか。

 楢山 5年間飲み続けましたけれども、ホルモン剤は、私にとってはあまりよくなかったんじゃないかと思います。薬をやめてから検査を受けると、肝臓の機能も腎臓の機能もすべてが普通の状態に戻りました。ですから、やっぱり人それぞれに薬の副作用で体調が悪くなるということはあるのかなと思っています。

 田中 副作用を防ぐために、余計な薬を使わないほうがいいわけですね。

 楢山 私自身はそうでした。

 田中 この人には抗がん剤を使ったほうがいい、この人にはやめたほうがいいとか、あるいはこの方にはホルモン剤を使ったほうがいいということは、ある程度事前にわかるものなんでしょうか。

 内田 最近は、組織の一部を取って、ホルモンの感受性があるかどうか、ハーセプチンというお薬が使えるかどうか、そういうことがかなりわかってきました。昔はがんの性質がわからずにやみくもに抗がん剤を使ったり、あるいは副作用があるからホルモン治療だけにしていたりしていました。最近は遺伝子検査も含めて、乳がんの性質がある程度わかってきたので、がんの性質に応じて個別に治療法を変えられるようになってきました。(続く)

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