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子ども向け麻雀教室…「教育効果」あり、マナーや集中力も向上

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 たばこの煙もうもうの中で、オジサンたちが酒を片手に賭け事をする――。そんな不健康なイメージが付きまとってきたマージャンを、子どもの健全な成長に役立てようと活動している団体がある。果たしてその効果は?(岩永直子)

ボランティアの大学生らとマージャン卓を囲む子供たち。床に足が届かない最年少の川上童夢君(5)(左)は、高得点の役ばかり狙う勝負師でもある(子供麻雀教室品川校で)=武藤要撮影

 「リーチ!」「うわー。また来たかあ!」

 東京・JR五反田駅近くのビルの一室。和気あいあいとマージャン卓を囲み、手慣れた手つきで(ぱい)を並べるのは、幼稚園児から高校生までの子どもたち。イスから床に足が届いていない園児もいる。

 これは、健全なマージャン文化の普及を目指すNPO「ニューロン」(代表・池谷雄一さん)が1997年から始めた「子供麻雀(マージャン)教室」だ。認知症予防の効果を期待して、全国で高齢者対象の教室は広がっているが、子ども向けは珍しい。

 マージャンプロで認定心理士でもある池谷さんが子ども教室を始めたのは、マージャンの「教育効果」に気づいてからだ。NPOの前身である大学の麻雀部に遊びに来ていた小学生が、通ううちに礼儀正しく、コミュニケーション能力も高まっていることに驚いたのがきっかけだった。

 「悔しさも伴う勝負事を一定のルールで行ううちに、マナーや相手との距離感を学ぶ。ネットゲームやケータイでは経験できない、リアルなコミュニケーションの訓練となっているんです」と池谷さんは語る。

 教室内では、牌を卓にたたき付けない、不快感を与える言動は慎む――などのルールを徹底。教室OBでもあるボランティアの指導者がマナーも教え込む。付き添いの父母や祖父母も加わることが多く、世代間の交流も対人関係を鍛える。

 川崎市の中学生尾臺(おだい)真弘君(14)は人付き合いがうまくなったと感じている。「パソコンでもやりますが、対面だと表情を読む・読まれるがあるので緊張感が違う。大人とやると言葉遣いもきちんとします」と話す。

 最年少の園児、川上童夢君(5)も、すでに2時間以上対戦しているのに集中力が途切れない。家では祖父(67)に仕込まれ、対戦中にぐずったり、騒いだりしたら雷が落ちる。母親の愛さん(33)は「勝ちたいから、一人でもずっとマージャンの本を眺めて研究するなど、粘り強くなりました」と喜ぶ。

 過去には、不登校の男子中学生が、教室運営の手伝いをするうちに自信を付け、専門学校に進学、企業への就職を果たしたこともある。引きこもりでうつ状態になっていた高校生は、レッスンプロの資格まで取って後輩の指導に力を入れ、政治家の秘書になった。

 諏訪東京理科大教授(脳神経科学)の篠原菊紀さんによると、対戦中は短期記憶や集中力、自我・他者意識をつかさどる脳の前頭前野が活性化し、子どもの心の成長にも役立つ可能性が高い。しかも、対面で話しながらでないと効果は薄い。

 「こうした能力が未発達だと、キレやすくなったり自分の殻に閉じこもりがちになったりする。思春期前から20歳過ぎまでが発達のピークと言われており、子どもにこそマージャンを勧めたい」と話している。

子供麻雀教室
 東京の品川校では毎月2回、蒲田、町田校、千葉の船橋校では毎日教室を開き、100人前後が参加。小学校のクラブ活動やカルチャーセンターでの教室もある。問い合わせはニューロン麻雀スクール本部(03・3739・4181)まで。
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