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心の中のアクセルとブレーキ…海原純子さん

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「心を元気にする生き方」


白鴎大学教授、心療内科医 海原純子(うみはら・じゅんこ)
 1952年横浜市生まれ。76年慈恵医大卒。専門は、心療内科、特に女性とストレス、医療コミュニケーションなど。米ハーバード大客員研究員、昭和女子大客員教授、厚生労働省「健康大使」も務める。
 心療内科医として全国で講演活動を行うほか、読売新聞「人生案内」回答者、毎日新聞・日曜版「心のサプリ」、日経ウーマン「幸せの芽の育て方」の連載を執筆。近著に「こころの格差社会」(角川書店)、「会社でウツ休むと元気ハツラツな人」(文藝春秋)などがある。
 99年に、20年間休止していた歌手活動を再開。自作の詩を中心としたCD制作のほか、全国でコンサートを行っている。

 

 私は、今は大学で教えていますが、その前、20年ちょっと、クリニックで、体調を崩したり、気持ちが落ち込んだりした女性とずっと関わってきたんです。その中で私が感じたことをお話しさせていただきます。

 皆さん、今までの人生をまず振り返っていただいて、気持ちが落ち込んで、なかなか前に進まなくて困ったなとお思いになったことのある方、どのくらいいらっしゃいますか。

 そのときのことをちょっと思い浮かべていただきたいんですけど、そのときの気持ちって自分の心の中のエネルギーがなくなってしまった気がしませんでしたか。何かがなくなって活力がわかないとか、エネルギーがない、という感じだと思うんです。クリニックでかかわってきた女性の方たちもそういう形でエネルギーがないという感じでいらっしゃる方が多いんです。

心の中のエネルギー、なぜなくなる

 では、そういう方たちはどうしてエネルギーがなくなったのだろうと調べてみますと、私は、心の中のアクセルとブレーキの問題かなと思うんですね。

 例えば、「自分がこうしたいな」「こういう方向に行きたい」「こういうふうに人生を歩んでいきたい」という思いがあったりする。でも、「そうやっちゃいけない。そうやると、人から変だなと言われる」「そうやっちゃうと、何かあまり家庭の中でよくない」とか、そういうことでブレーキを踏んでしまう。

 いつも心の中でアクセルとブレーキを踏んでいるとどうなるか。車でも同じですけど、エンジンつけたままアクセルとブレーキを踏んでいると、どこにも進めません。そのうちガソリンがなくなってしまって動かなくなる。それと同じような感じで心がストップしているような状態がうつ状態かな、と私はとらえています。

 そこで、どうするかというと、ブレーキをちょっと外して、アクセルのほうを踏んでいただけるように、何がブレーキのもとになっているのかを診ていきます。

 ブレーキのもとはいろいろです。例えば、その方の育ってきた環境、こうやらないといけない、例えば男は偉くなってお金をもうけて、いい会社に勤めてお金をいっぱいもうけなきゃいけないとか、あるいは男だから頑張って、泣き言を言っちゃいけない。あるいは女性だから、かわいくおとなしく、あまり自分の意見を言わないで、いつもニコニコしていなくてはいけない。社会的、家庭的、いろんなものがブレーキになっていることがありますよね。

 じゃあ、どういうふうにそれを外していって、自分らしく気持ちよく生きていったらいいかというのを、私はそのお手伝いをしてきました。

 一つ申し上げたいのは、自分の人生設定の目標を、外在的目標というのでしょうか、例えばお金があったら幸せになれる、すごくいいマイホームがあったら幸せになれる、というように外の条件を幸せの目標にしてしまうと、これはなかなかうまくいかないんです。

 例えば、ある研究で、高額宝くじが当たった人が一生幸せに暮らせるかというと、そんなことはないんです。大体3か月もすると、幸福感はあまりなくなってしまう。実際に、例えばアメリカの経済誌「フォーブス」などで高額所得者と言われている人たちの精神的な幸せ度を見てみますと、決して高くはないんです。ですから、お金があったら、じゃあ幸せになれるかというと、そうではない。

目標設定、外在型から内在型に

 では、どうすればいいかというと、内在型というか、心の中、自分の中の目標、自分で少しずつ進歩し、成長していけることを目標にする。大野先生のお話にもありましたけれども、自分がやってみたいことですよね、それを目標にする。それから加賀先生のお話の中にも、やることがないのはつらいということがありました。それは人から評価されるとか、これでお金がもうかるとか、こうやると得をするんだという、そういうものではなくて、自分自身が少しずつそれをやることによって成長していけるようなことです。そういう目標が人生の中にあると、随分、幸せ度って違ってきます。

 ですから、最低限生活をしなければいけないお金や家や、そういう条件はそろえなくちゃいけない。だけど、一応それがオーケーかなという段階になったら、もっともっと条件を求め続けるのではなくて、目標設定を外在型から内在型にしていくということが一つは幸せなるためのヒントになるんじゃないかなと思います。

 もう一つ、先ほど大野先生のお話の中に行動するということが出てきました。「どうせ、やってもしようがないだろう」というのは非常によくない。ある種のレッテル張りですよね。

 例えば「私なんてもうだめだわ」とか「私なんて才能ないわ」「あの子なんてだめな子よ」「私はもう年だ」というレッテルを張ったら、もう自分の新しい可能性、周りの人の新しい可能性というのは見えなくなってしまう。

 ですから、自分に張ったレッテル、それから人に張ったレッテルを外して一歩踏み出していく、行動する、自分らしい人生の目標を見つける。やりたいことを見つけるということが、一つ幸せのヒントになるのではないかなと思っています。(続く)

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