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日野原重明の100歳からの人生

安心・シニア

急死を招く病気… 急性心筋梗塞と大動脈破裂

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 前回はピンころりについて、年をとれば長患いで介護されることなく、ころりと死にたい高齢者の増えていることに触れたが、今回はどんな病気があれば急死するかについて書いてみようと思う。

 私は長年、聖路加国際病院で働いてきたが、救急車で担ぎ込まれた時には、心臓が停止していて、いくら蘇生術を行っても、いのちを取り返すことのできないケースを数多く経験した。

 今まで元気で普通に生活していた人が、急に胸苦しくなり、意識がなくなり、救急車がかけつけた時、すでに心停止している例はよくあることで、その原因には二つある。

 一つは急性心筋梗塞、もう一つは大動脈の破裂によるものである。

 心筋梗塞という病気は、心臓を養っている三本の動脈、これを冠状動脈と言うが、この血管の動脈硬化が進んで、動脈の内腔が狭くなったところが、血栓で閉鎖すると、酸素を運ぶ血管の閉塞のために、心筋が壊死(えし)、即ち心筋が死んでしまい、そのため、心臓は拍動できなくなって心停止が起こり、それで人は急死するわけである。

 冠状動脈が動脈硬化によって、ただ内腔が狭くなっている程度であれば、坂を登ったり、重い荷物を背負って階段を昇ったりする時、急に胸部が苦しくなるのは、狭心症と呼んでいる。

 これは冠状動脈が閉塞しているのではないので、ニトログリセリン錠を口に含むと、胸痛が2~3分以内にとれて、急死することはない。

 狭心症は胸痛があり、心電図を撮っても心電図に異常はないが、心筋梗塞の場合は発作直後から心電図の曲線に異常所見が出るので、すぐ診断できる。

 心筋梗塞の程度が重いと、発作直後にも心停止することがあるので、心電図を撮る時間もなく、急死が起こる。

 このような重症な心筋梗塞発作を起こすと、糖尿病を持つ高齢者は痛みの感覚が若い人より鈍いので、当人は発作に気づかず、治療を受ける時間がないために、急死を招くわけである。

 以上の重症心筋梗塞のほかに、大動脈が破れて急死する病気に大動脈解離症または大動脈瘤破裂があり、これが起こると大出血のために急死に至るのである。

 平素、胸部や腹部の大動脈の異常をX線や超音波(エコー)の機器で診断されておれば、大動脈が破裂する前に血管外科手術で助けられるが、大動脈瘤があるという診断がつけられていない場合には、突然の急死が起こる訳である。

 以上の急病は急死を招く主な病気であるので、症状がなくても平素健診を受けることを強くお勧めしたい。

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日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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