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逆流性食道炎がある患者は、ピロリ菌を除菌すべきか

 今年10月の内視鏡検査で萎縮性胃炎、組織の生検結果は良性、しかしピロリ菌陽性と出ました。私はもともと食道裂肛ヘルニアで、2年ほど前から逆流性食道炎が見つかり、以来治療としてラデン錠を服用しています。ただし症状は、時々ゲップや胸のつかえ程度で強くはありませんが、続いています。一方、胃がん予防でピロリ菌を除菌すると、今度は食道がんのリスクが高まると聞いています。このような場合は除菌すべきかどうかアドバイスをお願いします。ちなみに萎縮性胃炎と食道裂肛ヘルニアは20年ほど前に定期健診で指摘されました。(66歳男性)

基本的には除菌した方がよい

自治医科大学消化器内科教授 菅野健太郎

 一般に、逆流性食道炎患者さんのピロリ菌感染率は低いとされていますが、ご質問をいただいた方のようにピロリ菌に感染している方も珍しくありません。逆流性食道炎患者さんでは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を使って胸やけ症状や粘膜傷害を治療することが広く行われていますが、欧州のガイドラインではピロリ菌陽性の患者さんでは、PPIの長期使用によって胃炎が進行する懸念があるために、あらかじめ除菌をしておくことを勧めています。

 日本ヘリコバクター学会ガイドライン(2010年)でも、ピロリ菌陽性の方には逆流性食道炎の有無に拘わらず、除菌することを勧めています。しかし、残念ながら今のところ逆流性食道炎や萎縮性胃炎患者さんのピロリ菌の検査や除菌治療には保険が使えません。

 一方、消化性潰瘍などで、ピロリ菌の除菌をすると、胸やけなどの逆流症状や逆流性食道炎が増加する心配があるといわれてきました。実際、ピロリ菌の除菌が成功すると、逆流性食道炎になる場合があります。この方のように裂孔ヘルニアを持っている人、肥満している人などでは、除菌後に逆流性食道炎が発症しやすいといわれおり、逆流性食道炎を抑えるためのPPIが必要となる場合があることがあります。

 現在、ご質問をいただいた方は、酸を抑えるために、ヒスタミン受容体拮抗薬(H2RA)のラデン錠を服用されているようですが、除菌に成功するとH2RAでは酸が十分抑制できなくなりPPIが必要となる場合が多くなります。

 ただ、ほとんどの場合、逆流症状は、半年から1年くらいで落ち着いてきますし、逆流性食道炎も軽症で、ピロリ菌を持っていない人と同じくらいにすぎないことがわかっています。

 十二指腸潰瘍患者さんでは、除菌で逆流性食道炎もよくなる場合もありますので、消化性潰瘍患者さんで除菌をすると逆流性食道炎になるとは一概には言えません。また、ピロリ菌除菌後に食道がんが増えるという明確な根拠はありませんので、ご安心ください。

 このように、除菌後に逆流性食道炎が発症することはあっても、軽症であること、またその発症率もピロリ菌陰性者と同程度に過ぎないこと、除菌に成功すると消化性潰瘍の再発が大幅に減少することを考慮すると、逆流性食道炎と消化性潰瘍の両方がある場合にも基本的には除菌をしておくほうがよいと考えられます。この場合には保険が使えます。

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