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医療部発

コラム

漂流するアトピー患者

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 医療ルネサンスで「アトピー性皮膚炎」(12月14日~20日掲載)を担当しました。アトピー性皮膚炎の標準的な治療の柱であるステロイドの塗り薬について、処方される薬の強さや量が不適切な事例や、患者だけでなく医療者側にも副作用に対する誤解が根強い点などを取り上げたところ、手紙やメール、電話など多数のご意見をお寄せいただきました。

 私にも、幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされていた同世代の親類が身近にいました。地元の皮膚科で処方された塗り薬でも、なかなか良くならない。1日2~3回、処方されたクリーム状の薬を塗っていたようですが、汗をかいた後や、夜にそばで寝ている時も体中をかきむしっていました。皮膚が乾燥して膝や肘はカサカサにひび割れるため、スポーツが好きなのに、体を動かすたびに痛みを訴えていました。20年以上前になります。

 時を隔てて、今年の夏。別の取材でお会いした女性との雑談の中で「子どものアトピーがひどいが、何が正しい治療なのかさっぱり分からない」と聞き、かつての思い出がよみがえってきました。インターネットを調べると、その膨大な情報量に圧倒され、女性の言葉を実感したのが今回の取材の出発点です。

 連載では、ステロイドの使用に否定的な「脱ステロイド療法」や、民間療法などを経験した人たちも紹介しました。アトピー性皮膚炎の乳幼児を持つ母親たちが数十人集まった首都圏の相談会を取材した時、標準治療はもちろん、脱ステロイド療法や民間療法など、あらゆる方法を試しても良くならず、「とにかく、かゆみと湿疹から解放してあげたいだけなんです。どれも『治る』と言っているのに、効果がないのはなぜ?」と嘆く母親に出会いました。

 ある医師は「アトピーは難病でも何でもない。特別な治療や民間療法など不要だし、しっかりと標準的な治療をすれば治る」と強調しますが、身近にある病院を受診しても症状は好転せず、満足できる治療を求めて、いくつもの病院を転々とする患者は後を絶ちません。

 読者からは「アトピーの現実は5回の連載で片づけられるほど簡単なものではありません」とのご指摘もいただきました。その言葉を胸に、これからも引き続き取材を進めていきます。

 
 

 

野村昌玄(のむら・まさはる) 2010年から医療情報部。主な取材分野は、糖尿病、胃がんなど。趣味は、地酒漁りと豚カツ屋めぐり

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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