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介護・シニア
施設入所者の年越し一時帰宅、安全に
神奈川県秦野市の特別養護老人ホーム「湘南老人ホーム」に入所するAさん(69)は介護保険の要介護3で、軽い認知症がある。「年末年始に自宅に帰りたい」と望んでいる。同県伊勢原市の自宅にいる妻のB子さん(64)は「夫は足腰が弱くなっているので、帰宅の際は、家の中で転ばないように、余計なものを足元に置かないよう気をつけています」と話す。B子さんの仕事の都合で、Aさんが望んでいる帰宅時期を少しずらす予定という。
湘南老人ホームの入所者は約130人。要介護4、5の人が8割以上を占めるため、年末年始に帰宅するのは例年数人と少ない。湘南老人ホーム主任介護員で介護福祉士の
具体的には、食事の量、便の頻度など、入所者の普段の様子や介護状況を施設の担当職員から聞き、自宅で受け入れられるかよく検討することだ。
一時帰宅する際、車いす、つえなど自宅で用意すべき介護用品をあらかじめ話しあっておく。施設サービスを利用する入所者が外泊した場合、原則として、在宅サービスを介護保険で利用することができない。例えば福祉用具のレンタルは全額自己負担になるので、料金などを業者によく確認しておきたい。
自宅では、段差でつまずいたり、床などで滑ったりする転倒に注意する。段差には赤色など目立つ色のテープをはったり、そばで声かけをしたりするとよい。市販の滑り止めマットを用意し、カーペットやイスのクッション、お風呂マットの下などに置き、ずれて滑らないようにする。
湘南老人ホームでは、自宅までの移動手段として送迎サービスを行っている。こうしたサービスがあるかどうか、施設に事前に確認しておくといい。
専門家グループ「がんばらない介護生活を考える会」のメンバーで看護師の
施設に戻る際は、家族が入所者本人に「今度は春に花見に行こうね」などと次の予定を示して安心感を与えるといいという。
葭田さんは「無理して自宅に宿泊させるのではなく、外食や日帰り帰宅をしたり、年始に家族が晴れ着で施設を訪問したりするだけでも楽しく家族の時間を過ごせます」と話している。
年末年始は、特別養護老人ホームなどの施設に入所している人が自宅に戻って宿泊する一時帰宅の時期。迎え入れる家族は、戻ってきた人が施設とは異なる環境で、転倒したりつまずいたりしないように事前に準備をしておきたい。
一時帰宅のポイント(葭田さんの話をもとに作成) |
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・トイレの場所など自宅の間取り、食事場所などを施設の担当者に伝え、注意点を聞く ・体調悪化などに備えて主治医や施設担当者の連絡先を確認する。保険証など必要書類をまとめておく ・外食や日帰り帰宅などで家族が介護に慣れてから、一時帰宅を検討するのもいい ・認知症の場合、症状の程度によっては自宅に戻ることでパニックになるおそれがあるので慎重に検討する |
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