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俳優 中尾彬(なかおあきら)さん 68

一病息災

[俳優 中尾彬さん]肺炎(2)助かる可能性20% 幻覚も

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 2007年3月、担ぎ込まれた大阪市内の病院で、「肺炎球菌」による急性肺炎と診断された。

 健康な人の鼻からも検出される菌だが、高齢で免疫力が落ちると肺炎を引き起こし、重症化させることもある。

 熱は40度に達し、右肺に肺炎の影が見られた。体中の筋肉が障害を受ける「横紋筋融解症」や急性腎不全、強い肝機能障害、不整脈も一気に併発していた。妻の池波志乃さん(55)は、「助かる可能性は20%と聞き、ショックでした」とその時のことを振り返る。

 集中治療室に入って数日後、幻覚も見えた。天井近くに白いどんぶりが浮かび、その中にスパゲティがするすると入っていく。妻には、こう語りかけたらしい。「すごいね、志乃。見てごらん。スパゲティをあんな風に映像化して。さすがフランスの映像作家だ」

 うつろな目でわけのわからないことを言う夫の姿に池波さんは背筋が凍り、死を覚悟したという。一方、せきも出ない本人はさほど苦しさを感じず、妻の心配をよそに終始、楽観的に過ごせた。

 「後で危なかったと聞いて驚いたぐらい。逆に怖いですよ。本人は自覚のないまま、悪くなるんですから」

 抗生物質の投与や人工透析、血漿(けっしょう)交換など、あらゆる集中治療が施された。持ち前の体力のおかげか、治療は功を奏し、体はゆっくりと回復していった。

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