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医療部発

医療・健康・介護のコラム

車中泊一晩で肺塞栓になった人も

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 医療ルネサンス「静脈の詰まり」の取材では、多数の患者さんにお話を聞かせていただきましたが、中には「そんなちょっとした事で血栓ができてしまうことがあるのか!?」という方もいました。

 大阪府の設備工事業、佐藤隆さん(41)が肺塞栓症になったのは今年9月。仕事仲間らと三重県内にキャンプに行って、車中泊して朝起きた直後だったといいます。

 
「こんな感じで寝ていました」と実演してくれた佐藤隆さん

 前日はお昼ごろから、仲間たちとバーベキューなどを楽しみ、夜までにはお酒も進んでビールや酎ハイなど12缶ぐらい飲んだそうです。午後11時すぎごろ、眠気を感じて、自分の車の運転席のシートを倒し、うとうとと寝入ったそうです。

 起きたのは翌朝8時すぎ。後部座席に置いてあった歯ブラシやタオルを取り、「洗面所に向かって歩こうとしたところで、記憶が途切れている」そうです。

 周囲の人の話では、2、3歩進んで突然前のめりに倒れ込んだとのこと。救急車で三重大病院に運ばれて肺塞栓症と診断され、血栓を溶かす薬の点滴治療などを受け助かりました。

 脚の静脈に血栓ができた要因としては、▽飲酒によって脱水状態になっていた▽足先を下げて寝ている間、ふくらはぎなどの血流が停滞しやすかった――などが考えられるそうです。朝起きて動き始めた途端、血栓の一部が血流に乗って肺動脈まで流れて詰まり、酸欠状態になり意識を失ったとみられています。

 今は、再発予防のため、血栓をできにくくする薬を飲んでいますが、すっかり元気に暮らしています。

 中越地震の際、車中泊した被災者の約3割に血栓ができたとの報告がありましたが、佐藤さんも「それまで思いもしませんでしたが、自分が体験してみると、血栓って、できるときは案外簡単にできてしまうものなんだなと感じています」としみじみ話していました。

 最近は、高速道路料金が安くなったこともあり、車で遠出して、長時間助手席でじっとしていたり、パーキングで車中泊したりする人もいるかもしれません。また、渋滞にはまってもトイレに行かなくてよいように水分摂取を控える人もいるかもしれません。佐藤さんは「あれ以来、車のシートで脚を下げた状態で寝るのは避け、脱水状態にも注意するようになりました」と言います。

 みんながみんな過剰に心配することはないかもしれませんが、長時間乗り物で移動するときなど、念のため、足をこまめに動かしたり、適度な水分補給を心がけたりするのは悪くないと思います。

 

 

高橋圭史 2005年から医療情報部。がん放射線治療、腰痛・ひざ痛、こころの病気などを担当。主な取得資格は、プロボクサーライセンス(過去)、剣道二段。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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