いきいき快適生活
介護・シニア
高齢客にやさしいスーパー
専用レジ設置/低速エスカレーター
スーパーマーケットが、高齢者の利用に配慮し始めている。専用レジを設けたり、買い物用カートを軽量化したり。認知症に対する理解を深める研修を従業員に行う企業もある。ただし、こうした取り組みはまだ一部。高齢の客への対応充実を求める声は根強い。
東京都練馬区の「クイーンズ伊勢丹」石神井公園店では、今年8月から、高齢者専用のレジを設けた。平日午前11時~午後6時、9列のうちの1列を「ゆとりレーン」と名付け、お年寄りにゆっくり会計をしてもらう。希望に応じて店員が商品を袋詰めし、地下1階の売り場から近くのタクシー乗り場まで運ぶのを手伝うこともある。
このレジを利用した近所の主婦(82)は「支払いにもたついて迷惑をかけたくないと思い、お札だけいつも渡していた。ゆっくりと小銭を出せるのはありがたい」と話す。8~9月にレジ利用者約200人に対して同店が行った調査では、「大変助かる」「助かる」と回答した人が9割近かった。店長の山田洋二さんは「高齢者に配慮した店づくりは、売り上げにもつながる」と話す。
首都圏で250店を展開する「マルエツ」では、買い物用のカートを順次、軽量化している。従来の鉄製カートは重さ約9キロだが、新店舗や既存店の改装に合わせてアルミニウム製で約5・5キロのカートに入れ替えている。10月までに96店舗で入れ替えた。
このほか、「Delica」を「
「認知症サポーター」の従業員を養成しているのは、大型総合スーパーなどを運営する「イオン」グループ。認知症サポーターとは、自治体や企業などが開く所定の講座を受講し、正しい知識を持って認知症の人を見守るボランティア。全国に約190万人おり、同社ではグループ全体の約24万6000人のうち約1万8300人がサポーターだ。
また、地域ケア活動に取り組むNPO法人と対応事例集も作成。「レジで戸惑って行列が出来そうな場合は、『休止中』にして後ろの人を別のレジに誘導する」といった対応事例を紹介している。
「西友」や「イトーヨーカ堂」では低速エスカレーターを導入。低い陳列棚を設置したり段差が視認しやすいように階段を色分けしたりした店もある。
取り組みは一部調査結果が示す
ただし、こうした取り組みは始まったばかり。「高齢者が暮らしやすい都市」をテーマに、日本医療福祉生活協同組合連合会が昨年行った調査でも、その実態が明らかになった。調査では、東北から九州までの10地域の高齢者ら計353人が地域の状況を4段階で評価。それによると、医療・福祉サービス従事者の対応が高く評価された一方、高齢者専用レジなどの整備についての評価は84の設問中最低だった。
調査をまとめた同生協連理事の大野孝明さんは「高齢者専用レジはほとんどないため、低い評価になったとみられる。今後の調査では、購入商品の宅配サービスなどについても尋ねてみたい」と話している。
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